内容説明
北関東の小さな町で、コーヒー豆と和食器を扱う店「小蔵屋」を営むおばあさん、杉浦草。
亡くなった母とうなぎ屋の女将との確執の謎。そこには思いがけない秘密が隠されていた。
人生経験と、丁寧に紡いできた人間関係を通して、街で起こる事件のあれこれを解決に導いてきた小蔵屋の草だが、ある日、町の山車蔵の移転問題がもちあがり、小蔵屋の敷地が第一候補に。
町内の話し合いが必要だが、草は亡き母の遺言で「うなぎの小川」にだけはこの二十年行くことができず、移転問題の話し合いが思うようにいかない。
かつては親友だった「うなぎの小川」の女将とお草の母の間に、一体なにがあったのか。
祭りの音が響く真夏の紅雲町を歩き回るうち、お草は町全体に関わる過去のある重い事実にたどり着く。
ほっこりとあたたかな日常の奥に覗く闇がドキドキさせるヒットシリーズ第5弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさか
55
別冊文藝春秋2016年1〜9月号掲載のものを2017年1月文藝春秋から刊行。2018年3月文春文庫化。シリーズ5作目。母と仲違いした清子さんとの謎だった事情が、時を超えて草に降りかかる。仲違いの原因を調べていくと、紅雲町一帯を巻き込む秘密に行き当たり…。てな感じのややサスペンスタッチな展開で、清子さんの家族、住民の家族も巻き込むストーリーに目が離せませんでした。草の行動と推理、脇をかためる常連たちの連携が楽しい。明らかにされた秘密が、ただの困った問題にスリ変わるところに妙味があり、興味深かったです。2020/12/25
ケロリーヌ@ベルばら同盟
44
【積読本消化】和服をきりりと着こなし、珈琲豆と雑貨の店を営む老婦人お草さんが、ご近所で起きる事件の謎を解くシリーズ、第五弾は、舞台となっている紅雲町が主役と言えるでしょうか。夏祭りに欠かせない山車の保管場所を巡り、お草さんの亡き母と、鰻屋の大女将の因縁が甦ります。伝統の夏祭りを支える若者が減ってゆく地方都市の現状、大昔の諍いの原因すら知らぬお草さんに向けられる悪意。生まれ育った町を愛し、次世代に繋げるため、禁忌にも敢えて踏み込むお草さんの気概に、背筋が伸びる思いでした。2020/10/05
ひめ
36
シリーズものらしいけど、まぁいっかと読んでみた。お草さん、私のイメージではもっと若いつもりでしたが、途中でそうじゃないことに気がつく。でも頭の中のイメージの修正は難しく・・・。なんでそんな年寄りじみたこと言うのかと何度も???でも年寄りだったんですね。難しいと思って躊躇していたことが、お草さんの関与によって動きだす。重い問題でしたが前向きになれてよかった。なんでも難しいから無理と思わず、行動してみるものですね。2018/04/29
DONA
35
ずっしりと重い内容ながら、今までで一番面白かったかも?と思えるくらい次々読めました。ここまで心砕いて人を思いやれる老人になれたら素敵だろうな・・。お草さんにはいつまでも元気で溌溂と過ごしてもらいたいです。2018/06/16
ぺんぎん
30
随分と重い事実が発覚してこの先どうなるやら。お草さんには体を大事にして穏やかに過ごしてほしい。2018/06/17