内容説明
なんの脈絡もなく書いているシリーズの四冊めである。著者はあの森博嗣だ――。好みのデザートから安全保障、ミステリィのトリックまで、巫山戯たような表現の中に潜んでいるまったく新たな世界観&考え方。「小説を書くほうがずっと簡単」と断言するほど練りあげられた、目からウロコのエッセィ全一〇〇篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
64
一つ前のカトリーヌは、しまった、失敗だと思いました。今回のツンドラは100の内のほとんどに確かにそうだな、ふむふむと頷いている自分がいました。特に6は森先生のおっしゃる通りだと思いました。ネットが個人的感情を短時間に集計してしまい、社会の声などと決め付けていてなんの分析もなく垂れ流されている。気に入らなければ、とことん痛めつけても良いのか?行われていることは、私刑と変わらなくないのか?イイネは国民投票なのか?なるほどだ。表紙もいいです。2015/12/21
ひめありす@灯れ松明の火
58
101,ツンドラとモンスーンについて。ツンドラは寒帯気候の一つである。人間の住める極限の寒さである。地名でもある。モンスーン気候というのはない。あるのは熱帯性モンスーン気候である。こちらは人間の住める暑さの極限という訳でもない。季節風の事である。この二つをまとめて並べてしまうと、人間の住める限界の気候のようにも見えるし、二つの地名のようにも見える。しかしどちらでもない。まとめとはこのような物で、二つ並ぶと何らかの関係性があり、あたかもそれが世界の全てのように見えてしまう。ツンドラにモンスーンは届かないのだ2016/05/06
佐島楓
56
ショートエッセイ集。やはりこの本も、森さんのファン向けなのだろう。長年ファンなのでわかる。意見が合うところあり、ぶつかるところあり。2016/03/01
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
53
森博嗣先生のエッセィ。いやあ、面白かった。森先生自体が、ほんと面白いなと再確認した感じ。いろいろ得られるものがあったような、なかったような。なるほどなるほど、と読み進めて、最後の後書きに吹いた笑。ぜひ後書きも読んでほしい。2015/12/24
Y2K☮
46
著者の見解は白、黒、グレーが明快。日本人的なぼかし方をしないから読み手としても各々に対して賛否をクリアに打ち出せる。原発や安全保障に関しては私と真逆に近いが自衛隊への配慮に関しては同意見。面白い。感情論や思い上がりや人付き合い故のポジショントークなどとは無縁だから、賛同できなくても信用は可能。独自ルートで正答に辿り着いた人ならではのクールな説得力は確かに感じる。元研究者のミステリィ作家ではなくミステリィも書ける研究者という印象。村上春樹と同じくいい意味で芸術家&文壇の臭いがしない。もっと話を聞いてみたい。2016/01/16