内容説明
山にはどのような人たちが暮らしていたのか。平地との連絡はどうだったのか。本書は足で歩き、山の民の声をじかに聞く著者の豊富な見聞資料にもとづく山の生活と文化である。
目次
一 塩の道
二 山民往来の道
三 狩人
四 山の信仰
五 サンカの終焉
六 杣から大工へ
七 木地屋の発生
八 木地屋の生活
九 杓子・鍬柄
一〇 九州山中の落人村
一一 天竜山中の落人村
一二 中国山中の鉄山労働者
一三 鉄山師
一四 炭焼き
一五 杣と木挽
一六 山地交通のにない手
一七 山から里へ
一八 民間仏教と山間文化
附録 山と人間
一 山中の畑作民
二 畑作民と狩猟
三 狩猟・漁撈・籠作り・造船
四 木工民
五 山岳民エネルギーの去勢
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
33
木地師に杣人、鉱山師に焼畑耕作…日本人=稲作文化という偏狭な思い込みを突き崩す多様な山の文化の世界。北は秋田阿仁から南は九州・米良椎葉まで、「著作集」の各民俗誌や山林調査、「私の日本地図」などでこれまで読んで印象に残った地名が次から次へと出てきて(嬉しい)、この企画、本当に宮本の転換点だったのだとわかる。落人たちがたどりついた尾根筋の村々まで実際に歩いて見出した疑問を、ここで一旦アイデアの形にまとめておこう、ということなのだろう。いやそれにしても、このモチベーションの源ってなんだ?改めてそら恐ろしくなる。2017/05/26
fseigojp
23
1000m近辺の低山逍遥には必携の書 山の民俗がよくわかる2015/09/30
100名山
5
やっと読み終わり感想を書こうとしたらすでに2015年6月に読んでいました。この話ほかの本で読んだことあるなーと宮本常一も結構自己引用する人なのだなと思いながら読んでいました。ボケたなー。参った参った。2020/04/16
垣内美希
2
山の民には様々な系譜がある。その様々な種類の人たちの暮らしや歴史を大まかに知ることができた。2013/10/28
100名山
0
五木寛之の「風の王国」を読んでしまったので口直しに本書を読みました。 著者の本は20冊ぐらい読んでいるが、~思う。とか、~だろう。が多く民俗学の難しさを再認識しました。今度は学問として認められている柳田國男の著書を読んでみようと思う。山歩きで親しみのある茶臼岳や下栗がでてきて興味深く読めた。確かに陽が射した下栗は天空に浮く里といったところだが、名所になった現在の下栗を見たら宮本常一は驚くだろう。2015/06/26