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内容説明
古代地中海を中心に歴史をつくりあげたギリシアとローマ。同じような時期に政治・経済・文化が発展していったが、ギリシアではポリスがまとまり大国とならなかった一方、ローマは超大国へと、その覇権を広げていった。また思想・哲学などの華々しい文化が生みだされたギリシアに比べて、ローマでは目立ったものは出てきていない。なぜ、そのような違いはうまれたのか? ギリシアからローマへ受け継がれ、その後ヨーロッパまで影響をあたえたものはなにか? それぞれの専門家が通史からはこぼれおちた側面に光をあてる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
24
ギリシアと違いローマはなぜ拡大したのか。ポリビオスによると、ギリシアは王政、貴族政、僭主政、民主政、扇動政治、独裁政が繰り返されてきた。そのために、ポリス内部での政権闘争に明け暮れ、内紛のような状態が日常になっていた。そのせいで外に向かっていく力が削がれていたという。それに比べ、ローマは早い時期から非常にバランスのとれた国政を持っていた。執政官二人の独裁政、元老院の貴族政、民会の民主政が均等に配備され、いずれかが突出しないようなシステムが隠然としてあった。そのため、政争の繰り返しによって消耗せずに済んだ。2018/05/29
zirou1984
22
民主制を敷き優れた文明を残しながらも、その制度は厳格でポリス間で緊張の絶えなかったギリシアと、元老院と貴族政治という階級がありながらも寛容で宗教心に富み、領土を拡大し続けたローマ。西欧の起源となる両者の文化について著者二人が執筆の後対談を繰り広げているのだが、この文明の違いが著者の性格の差となって表れているのが面白く、対談冒頭から喧嘩腰になっている謎のダイナミズムと甚だしい企画倒れ感。個人的にはローマ側の軽すぎる文体と薄い内容が肌に合わなかったが、ギリシア文明がなぜ滅んだかの考察に関しては腑に落ちた。2018/04/12
かんがく
15
ギリシアとローマは地理的にも時代的にも近く、教科書でも続けて記述されているが、その二つをまとめて語る本は珍しい。それぞれの専門家二人が解説を行ない、最後に対談するという構成。女性、奴隷、「外人」(著者はあえてこの語を用いる)などの視点が重視されているのは好印象。対談についても、ありがちなお互いを褒めるなれ合いではなく、本村氏の大胆な論理に対し、桜井氏がバッサバッサと反論していくという面白い展開だった。その後のヨーロッパに強く影響を与えている時代なので、もう少ししっかりと学んでいきたい。2021/04/07
まーくん
15
ギリシアが専門の桜井氏とローマが専門の本村氏の共著。発生した事柄を時を追って述べる通史ではなく、ギリシアとローマを比較しつつ流れの側面から光をあて、事柄がなぜ、どのような背景で起きたかを論じている。三部構成でその一章は両者による対談に充てられている。その議論が一部噛み合わないようにも見えるがそれも一興かも。欧米の研究者には「多神教から一神教へと進化し、行き着いた高みがキリスト教である」という観点から、古代ギリシア人の宗教を批判的に見る傾向が(潜在的に)あるという意見になるほどと思った。2018/01/06
武井 康則
13
ギリシャの後にローマがあったように思っていたが、実はほぼ同時期に存在している。しかしギリシャは民主制で覇権を求めず、文化面で大いに活躍した。一方ローマは文化面でさしたるものはなく、しかし覇権拡大していった。その違いは何なのか。講演のノートを書き下ろしたものなので読みやすい。何かとまとめたがる本村に対し、些末なところに拘る桜井の姿勢がいい。二人の対談はすれ違いに終わり、それゆえに問題が浮き彫りとなる。特にギリシアローマの何かに集中し拘ったわけでないから、入門書として最適。2024/07/08
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