内容説明
日本民衆史の総論ともいうべき本書は、この国土に生活の場をうちたて、開拓立村によって生活と生産の歴史をにない続けて来た民衆の姿を、独自の史観にもとづき書き下すもの。
目次
はじめに
一 食用植物の確保
二 畑作おこる
三 狩猟から放牧へ
四 鉄と織物と木器
五 稲作技術の伝来
六 稲作の発展
七 古代国家の統一
八 条里の村
九 水田の増加
一〇 荘園の発達
一一 名田と垣内
一二 太閤検地の意義
一三 戦争から開拓へ
一四 開拓郷土と草分け百姓
一五 小農経営の成立
一六 牧から畑へ
一七 焼畑の変遷
一八 老人と開拓
一九 次三男と貧民
二〇 新作物と開拓
二一 明治以後の開拓
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
33
なぜ「日本民衆史」の第一巻が開拓なんだろう?冒頭、宮本はこれは「総論」と宣言する。なぜならそれは、人が「どのようにしてそれぞれの生活の場をうちたててきた」のかの歴史だから、と。自分の目に、町育ちのウロコが貼りついていることを思い知らされる。◇総論だからか、随所に宮本の生のままの人間観が現れてくれてうれしくなる。「苦難が大きければ大きいほど、生きようとする本能は強まったといっていい」「人につかわれ、人に仕えて生涯を終ることはいずれの時代、いずれの場所においても人の喜ばぬところである」。日本人観を変える一冊。2017/04/29
fseigojp
17
宮本民俗学総論2015/10/01
ひかる
2
現在の日本を見つめるうえで必要な知識であろう開拓の歴史を主に生活の視点からまとめてくれた名著である。現在の生活の基盤を作り上げてきた歴史に人間の臭いはそこここで漂う。この本を読みながら現代を生きている私が現代の記憶に振り回されるのも無理はない。人の人生は短いのだろうか。この本を読んだだけで私は1000年を生きたように感じるのであるが、人の歴史を知らぬ人間は生涯を何年で終えるのだろうか。2012/07/03