内容説明
日本にサツマイモが入って来たのは近世の始めであるといわれる。以後、日本人の食生活の上で占める甘藷の位置はかなり高い。本書は農業史で等閑視される甘藷の再評価を迫る。
目次
はしがき
一 アメリカ発見と甘藷
二 甘藷琉球に伝わる
三 ウイリアム・アダムスと甘藷
四 親民鑑月集
五 紀伊・瀬戸内海への伝播
六 宮崎安貞
七 貝原益軒
八 薩摩坊ノ津
九 鉄砲伝来
一〇 鹿児島への甘藷の再来
一一 陶山鈍翁と対馬の甘藷
一二 下見吉十郎
一三 井戸平左衛門
一四 青木昆陽
一五 各地への甘藷の伝播
一六 甘藷の品種の多様化
一七 殻寄せ奉公
一八 貧しきものの生きがい
一九 甘藷の地方名
二〇 甘藷の食べ方
二一 明治維新後の甘藷
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
32
日本の民衆の歴史を20冊くらいのテーマに分けて書きたい、そう志をたてた宮本が最初に選んだテーマがこの「サツマイモ」。結局生前に6冊まで書かれたシリーズ、他は「開拓」「町」「村」…、群を抜いてピンポイントなテーマなのだが、読んでみると本当に宮本らしい一冊に仕上がっていて、「忘れられた日本人」「民俗学の旅」の次におススメしたいものになっている。日々の生活をよりよくするために勤しむ有名無名の人びとの営為、その移動と交流の熱量に焦点をあてて、直接見聞きしたことを基盤として各種文献を渉猟する若々しさが本当に楽しい。2017/01/15
fseigojp
19
西日本には甘藷をめぐる涙ぐましい努力があった 江戸時代の東北の飢饉は甘藷に頼れない地質のためかも 馬鈴薯は明治になってから?2015/10/01
Hiroki Nishizumi
2
まことに甘藷が無ければ人口は半分くらいだったかもしれない。すごい食物だ。2024/04/27