- ホーム
- > 電子書籍
- > コミック(少年/青年)
内容説明
1945年(昭和二〇)、上田としこは28歳。
日本が戦争に負けた時、としこは満州の地で働いていた。
もしも、叶わないものを「夢」と呼ぶとするならば、
「漫画家になる」というのは、としこにとって
夢でしかなかった。
大きな戦争は終わった。
けれど、満州の日本人、とりわけ一人の女・上田としこの戦争は、
終わりが見えないのであった─────
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジロリン
15
今までどんな環境にも明るくたくましく立ち向かったとし子さえ慄然とさせる、大陸からの引揚げ行の悲劇の数々。体験者ではとても語れなかったのではなかろうか。己のこどもを「生かす」ために「捨てる」状況のリアルさ…次巻から、いよいよ日本(とし子本人に「祖国」という意識はあったのだろうか…)を拠点とした彼女が描かれるのか。とし子にとって、けして夢の国ではないこの国は、どんな顔をみせるのだろう。2015/06/06
fukumasagami
10
誰もが漫画絵を見る時はニコニコ、本当にいい笑顔で選んでくれる。久しぶりに希望の光がわたしの心の中にパーッと射し込んできて・・・もうすぐハルピンにも春が来ます。2015/05/30
ツキノ
7
馬さん、王さん、欧さん…日本に引き揚げの際、父だけは残るよう言い渡される。そしてハルピンを経って40日の旅の末(壮絶…)博多に入港。2015/08/22
ふわりん
6
戦時中ハルピンで中国名に変えて働かなくてはならない状況でも、としこさんは元気いっぱい!辛いこともたくさんあるのにとしこさんはそれを跳ね返すのではなく、どうすればもっと良い方向に変えられるかをいつも探して即実行する。戦争が終わり日本に引き揚げるのも大変なことだったのに、若い女性であるにもかかわらず勇気と決断力で前に前に歩いていくとしこさん。本当に生まれるのが早過ぎた、この巻でもずっとそう思いながら読んでいた。引き揚げ船での悲しみや辛さを感じながら次に続く。2020/05/20
もくもく
5
大陸・満州では、本当に人々が大変だったのは戦中よりもむしろ戦後の混乱の時代であったと聞いたことがあります。自分の国が戦争に負けると言うことが、国民にとってどんな痛みを与えるのか、それを端的に示しているのは、この時この地にいた日本人…あるいは日本軍人の体験であると感じます。そんな中でも前向きな姿を見せる とし子 の笑顔は、大いなる救いであったりしたんじゃないかなぁ…。2015/08/06