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内容説明
古代末期という激動の時代に,貴族世界にとどまらない開かれた精神がとらえた,日本への仏法渡来と伝播の物語。インド・中国・日本の貴賎老若男女が,生々しいエネルギーにあふれて登場する。第6巻は,巻第二十九(本朝・悪行),巻第三十・巻第三十一(本朝・雑事)。巻末に池上による解説を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
本朝部の最後にあたる二十九(本朝・悪行),三十・三十一(本朝・雑事)の3巻を収めた本巻では、近代資本主義以前に欲望を主題とした説話が多いから明治以後の作家が多く参照したのだろうか?と思うような話が多い。悪行の巻では窃盗を取り締まる検非違使が窃盗をする話、雑事の巻では国守が欲に駆られて自らの領地に損害を与えたり、帳簿を改竄させた書生を口封じに殺す話等がある。対照的なのは、利子付きの貸借によって蓄財する大蔵の官人を取り巻く人の話と色好みの平正文の話だ。金持ちは「徳人」とされて尊ばれ、過度の色好みは戒められる。2022/10/31