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内容説明
古代末期という激動の時代に,貴族世界にとどまらない開かれた精神がとらえた,日本への仏法渡来と伝播の物語。インド・中国・日本の貴賎老若男女が,生々しいエネルギーにあふれて登場する。第3巻は,巻第十七から巻第二十(本朝・仏法。巻第十八欠)まで。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
仏法部の終盤にあたる17-20巻を収めた本巻は、前巻の往生と祈り、観音に助けられる民衆を主人公とした説話を引き継ぐように、民衆と仏法の関わりに焦点が当てられる。各階層の人々の発心にまつわる説話から地蔵菩薩のエピソードに移ると、その仏法的性格に道祖神の土俗的性格が加わり、さらに天狗を祀る法師も出てくると法師同士が術の掛け合いの場面はまるで天狗同士の戦いに見える。民衆に仏法が広まるにつれて、因果応報や輪廻転生の教えが自然の威力を擬人化した民間信仰と混ざり合い、民衆の生活の中で世俗化する様子が見えるかのようだ。2022/10/28