内容説明
退役少佐スマイスは、南国ジャマイカで昔の悪事をもとに築いた悠々自適の生活を送っていた。その悪事とは─―大戦後雑件処理に携わった彼は、偶然、ナチスが山奥に隠した金の延べ棒のありかを知った。そして、一人のドイツ人に案内させ、金を手に入れると殺してしまった。ところが、この男こそ親代わりとしてボンドを育て上げた人物だったのだ。戦時犯罪の摘発という任務のもとに、ボンドはスマイスとの対決に臨んだ……表題作ほか、ボンドが、ソ連スパイ狙撃、敵資金源の壊滅に活躍する2篇を収めた著者最後の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
せ〜ちゃん
17
★★★★ 007シリーズ短編集。「オクトパシー」「所有者はある女性」「ベルリン脱出」の3編。2021/01/05
餅屋
4
短編集の2冊目、これでシリーズ打ち止め■「オクトパシー」ジェイムズの先輩世代のあるある顛末、舞台がジャマイカというのがらしくて良かった「所有者はある女性」冷戦下の地道なスパイ活動…舞台のサザビーは派手なのですがね「ベルリン脱出」ゴルゴと比較してしまうスナイパー話。退屈なあまり手に取るスリラー小説『背徳の罰当り不義』には爆笑…缶詰生活はストレスやらいろいろ溜まり任務の弊害となるようで…「解説/007のすべて」シリーズの復習をしている気分に。時代とは言え女性観が…結局イメージはショーン・コネリー(1966年)2024/06/20
Radwynn
4
映画007シリーズの原作を読むのは初めて。短編が3編収録されている本作をお試しのつもりで読んでみたのだが、エンターティンメント性を追求した映画の破天荒さからは想像出来ないほど渋い“諜報員”ものだった。「オクトパシー」で見せる青いとも言える仁義の厚さ、「所有者はある女性」の頭脳戦と華やかながら伝統的なオークションの雰囲気、「ベルリン脱出(リビング・デイ・ライツ)」の狙撃手ボンドの緊張感とMとの関係、短編ながら読み応えがあり、ボンド像がくっきりと浮かび上がる。長編も読んでみようかな…2013/08/18
はげ太郎
2
とうとうフレミング007を読破してしまった…。短編では一つの状況に集中するためオシャレ感が高くなる。なかなかの構成でよい。2015/12/17
い
1
2000年代にハヤカワ文庫で新装版(新訳?)が出たが、最後の短編集だけは出なくて、どうしてもどんな話か知りたかった。時を経て旧版ではあるが京都河原町でオープンしたまんだらけでゲット。読んで思うのは、映画ってホントに原作からネタ拾ってんだなぁ、と。オクトパシー、リビングデイライツもさることながら、「スペクター」でなんじゃ?って思ってたオーベルハウザーがちゃんと原作に出ていたとは。私が無知でした。こんなこと知ってる人のほうが少ないか。事典みたいな付録が楽しかった、これの完全版ほしい。2023/11/04