内容説明
今度はわたしが男に牙をむく番だ――そんな決意を秘め、ヴィヴィエンヌはアメリカへ渡った。イギリスでの生活と、彼女を弄んで捨てた男たちから逃げだして。が、ここでも男たちの魔手が彼女を襲った。二人組のギャングが、彼女が独りでいたホテルに押し入ってきたのだ。彼女の窮地を救ったのは、ジェイムズ・ボンドと名乗る謎の男だった……。女性の視点からボンド像に光を当て、強烈なスリルとエロティシズムで綴る異色作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
再び読書
27
ぼくは映画の10作目の「わたしを愛したスパイ」からボンドにはまった。映画のめくるめくスペクタクルに、テレックス・ウォッチから水陸両用のロータス・エスプリの子供でも憧れるガジェット感覚にのめりこんでしまった。そこからの原作は、あまりのギャップがあり、良くも悪くも幻滅すら感じさせなかった。ジョーズをかみ殺す人間ジョーズは原作には現れない。危機を救って身体だけではなく心まで持っていくタイトルに即しているのは原作だが、心まで鷲掴みするのは映画の、ロジャー・ムーアだった。2024/12/01
せ〜ちゃん
19
★★★ 007シリーズ長編小説では9作目。(短編除く)2020/12/15
鐵太郎
19
フレミングの007シリーズ第9弾。ヴィヴィエンヌ・ミシェルというカナダに住むイギリス娘が主人公という、いっぷう変わったもの。サンダーボール作戦の直後というシリーズ的な時系列にあるのだけど、描かれた物語はこのヴィヴという娘がいろいろあってひどい目にあい、あわやという時にジェイムズ・ボンドと名乗る救いの神に助けられる、というお話。まァたしかにポルノチックな少女漫画といわれてもしかたないな。今読み直すと、ボンドが出てくるまえのこの娘の初恋だとか初体験だとかのお話は、退屈そのもの。(笑)2019/05/04
餅屋
9
シリーズ10冊目、第9長編は、なんとも饒舌ボンド▲イギリスでの生活から逃げだしてアメリカへ渡ったヴィヴ。彼女の窮地を救ったのは謎の男だった…▼舞台はニューヨークと言ってもマンハッタン島ではありません。わたしはフランス系カナダ人、ヴェスパを駆ってアメリカ縦断中に…なスリラーなのですが、異色作とされのが良くわかる。女性の心理描写をどうしても書きたかったのか?しかし、おっさん臭が過ぎる…。女性視点からよく喋るジェイムズを書きたかったのか?まぁ一人称小説なのでサクサク読めます。軽~い気持ちで、どうぞ(1962年)2023/10/26
アーチャー
4
ジェームス・ボンドが脇役を演じるシリーズの異色作。だから映画化作品とは全く展開が違いますというか、違いすぎです。それを確かめる意味でも一度読んでみてはいかがでしょうか。