内容説明
天保の改革で吹き荒れる不況風。土一升金千両と言われる日本橋もその例に洩れず、商才に長けた蜻蛉屋こと“とんぼ屋”女将お瑛も青色吐息の毎日。そんな折、幼馴染みの鋳掛(いか)け職人常次の死が知らされた。原因は、神田と伝馬町の神輿同士の喧嘩に巻き込まれた結果であったが……。(第一話『夢ぞかし』より。他に五篇を収録)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅葱@
8
いろんな事情を抱えながらも生きていかなくてはならない。経緯(いきさつ)も別れも生い立ちも詮ないこと。でも、何とかしたい思いや手を合わせたくなる心持ちが、冬蛍につながっていく気がした。そうして詮ないことも受け入れられ、抜けていけるのかもしれない。日本橋物語のシリーズを通して読んできてそう思う。灯籠と紙風船たぁなかなかやるねぇ。江戸っ子の人情と心意気が見えるよう。それにしても中屋幸斎、ただ者じゃない。2013/05/01
あかんべ
7
この後はもう無いのか?父の生死もわからぬまま終わるのは残念。2016/12/29
ソババッケ
3
シリーズも10作目に。幼馴染の常次が、火消の喧嘩に巻き込まれ死んでしまった。蜻蛉屋のお瑛と若松屋の誠蔵は、その騒動に絡んでしまうのだが・・・。お瑛の父親・津嶋喜三郎を知るという飯炊きお粂という老婆が現れ、その線から深川で法眼屋敷という鍼灸医をやる久坂玄哲に行き着いた。甲府時代に父親と親交のあった玄哲の話では、幕府の密命で、甲府の隠し金山の摘発に当たっていたのではないかという。なんだか、伝奇小説風になってきて面白い。日本橋川で紙風船を上げようとは・・・その名がこの本のタイトルになっているのだが。★3.32013/06/07
きりと
2
とうとう父親のことを知る人物に出会えたお瑛。父親は生きているのか死んでいるのか…。そろそろ終わりがみえてきたかも。2013/04/02
myu
0
【図書館本】日本橋物語シリーズ⑩2013/11/03