内容説明
「二人が殺されたからと言って、ボクに困ることは何もない」繭墨あざかは柔らかく、だが断言する。彼女の言葉は理解できるが、怒りは募る。ヒルガオを失った嵯峨雄介は、唐繰舞姫と繭墨あさとを殺すと言い、失踪した。この復讐を止めなければ、今度こそ彼の心は崩壊するだろう。焦りと後悔に苛まれる僕に、繭墨が告げたのは、あさとが座敷牢から抜け出したという最悪な事態の訪れだった--残酷で切なく、醜悪に美しいミステリアス・ファンタジー第8弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
44
小田桐が雄介と似ていると驕っていたことに驚き。本心から「死ぬのは怖い」と言っていた小田桐と、自身に言い聞かせていた雄介は根本的に違う。雄介は普通の人だよ?見て見ぬ振りが出来ない誠実さや即決で子供を引き取ると決める決断力を持っていて罪を負うことを厭わない思いやりと覚悟がある人だよ。何も決められず、生殺しでずるずる傷を広げることしかできず、罪を怖がる小田桐とどこが似てる? 「わかるよ」その言葉が一番許せなかっただろう。理解してくれる人が居ない場所に戻りたいと思う人間がいると考える小田桐は救いようのない鈍感野郎2021/01/02
Yobata
26
ヒルガオを失った嵯峨雄介は、復讐として唐繰舞姫と繭墨あさとを殺す為、失踪する。脱走したあさとと過去のアジトの一つに閉じ込められる話,菱神昭による人間解剖のための誘拐・監禁,人買いの屋敷にいる少女救出,舞姫の復讐を受ける覚悟の4編。心が崩壊した雄介の復讐劇が始まる。これ以上進むと戻ってこれないかもしれないと雄介を止める為、小田桐は奮闘する。「二人が殺されだからと言って、ボクが困ることは何もない」はさすが繭墨あざか、例えこれまで親しくしていた雄介が復讐に走ろうとも変わらないんだね。醜悪で美しく,残酷で切ない→2013/05/03
た〜
19
雄介の壊れ具合が微妙。もっと本格的にぶっ壊しても良かったのではなかろうか。それから狐が妙におとなしいのも、いささか物足りない。まあ、こちらは雌伏の時だと信じて先に期待しよう2015/07/15
ごぅ。
13
あっちが善人で、こっちが悪人で、あっちは変人で、こっちは凡人で、あれが中庸で、これも平凡で、どれも異常で、ああぁ、、、、もどかしい。進むも戻るもなく行くも帰るもなく寄る辺も拠り所も生も死もなくなったであろう、雄介。彼の動向。そして醜悪な狐の気になる言動。。。気になる気になる。。。2012/05/21
ソラ
9
「二人が殺されたからと言って、ボクに困ることは何もない」繭墨あざかは柔らかく、だが断言する。彼女の言葉は理解できるが、怒りは募る。ヒルガオを失った嵯峨雄介は、唐繰舞姫と繭墨あさとを殺すと言い、失踪した。この復讐を止めなければ、今度こそ彼の心は崩壊するだろう。焦りと後悔に苛まれる僕に、繭墨が告げたのは、あさとが座敷牢から抜け出したという最悪な事態の訪れだった2012/05/04