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内容説明
ジョン・メイナード・ケインズ。一九三六年に発表した『一般理論』で一大センセーションを巻き起こした経済学の巨人──名前は知っていても、実際にこの男が何をどう考えていたのか、正確に理解している人は少ない。なぜ現代経済学のスーパースターと呼ばれたのか、なのに、なぜ「ケインズは死んだ」とまで言われるようになってしまったのか。本書は、数字や数式を極力使わずに、今の世の中につながるケインズの思想をやさしく解説。読むうちに「資本主義」の正体、「経済」の真相が見えてくる。
目次
1 公共事業はなぜ効かないのか―「一般理論」の先見と誤謬(そもそも不況とはどういうことか;どうしてモノや人が余るのか;ケインズは貨幣に注目していた ほか)
2 バブルの何がまずいのか―不確実性と均衡(確率論が通じないサブプライムの泥沼;アブナイとワカラナイは違う―「ナイトの不確実性理論」;人は最も悪い可能性を気にする―「エルスバーグのパラドックス」 ほか)
3 人はどのように「誘惑」されるのか―選好と意思決定のメカニズム(経済活動は「推論」と「決断」の繰り返し;「行動の好み」を再現する選好理論;「誘惑」のメカニズムが解明された ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fuura
8
資本主義の何たるか、経済の仕組みはどうなってるか、ケインズ理論で紐解けば回答は簡単。しかし実際にはその通りには社会や経済は動かない。ケインズの考えは間違っていたのか、いやそもそもこの途方もない経済活動を筋道立てて解明できると考えている事こそ傲慢なのではないのか、色んな経済書を読んで確信したことがある。富はその大きさが大きいほど最後の勝利者になる。これこそが格差の元凶なのだが、ケインズさんそうですよね、金持ちには貧乏人はどんな勝負をしても勝てないんですよね2017/03/16
Hiroki Nishizumi
5
読了後、表題は容疑者というより「飽くなき研究対象」という印象を受ける。ジニ係数、ローレンツ曲線、小説イーヴリンなどなど興味深く読めた。2022/02/28
takizawa
2
著者は数学科を卒業したあと、しばらく社会人をしていて(数学講師)、あるとき市民セミナーで経済学に出会い、研究者を志して大学院に入りなおしたのだとか。ジニ係数など理数的素養の必要な項目を明快に解説している。ケインズへの愛に溢れている本。2008/09/19
ひこうきぐも
1
マクロ経済学なる分野は実に面白い。経済学と数学を勉強したくなりました。でもできない。2011/07/09
ちあき
1
「ケインズを学ぶ」でなく「ケインズで学ぶ」趣の経済学入門書。概観したり弾劾したりするのでなく、どうしてもこだわって考えたいポイントだけを示し、新しいトピックや理論を紹介しながら批判的検討を加えるスタンスは類書にないものである。薄手だが内容はうすっぺらくないことも容易に感じとれるだろう。マクロ・ミクロの教科書、ケインズ本人の著作、あるいは経済思想史の入門書、どれにとりかかるにしても読んでおけば見通しがよくなること確実だ。ただ、タイトルは「容疑者」じゃなく「証人」「重要参考人」の方がよかったのでは?2009/11/25