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内容説明
昼でも夜でもない、不確かな刻――夕暮れ。地に長く延びたふたつの人影が重なる時、永く眠っていた闇が目を醒ます。この世はヒト知れぬ生命に溢れている――。比類なき幻想世界、そこに脈打つ生命達の息吹。眩き5編に溢れる第9巻、ついに現出。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キジネコ
45
緑の目玉に白い髪、左目の虚ろに闇の蟲、トコヤミを宿す少年ギンコの秘密の一端が描かれます。私達の棲む世界と空想の世界の中間に迷い込む読者に蟲が囁く。この奇譚は格別だと、そも蟲師は万能でなく、蟲は悪を標榜せず、交差する蟲は恰もヒトの影の様。私達の信じる日常と共振する哀愁の世界。疼きが心の在り処とその脆弱を思い出させてくれる。問われるエゴの罪過、届かぬ愛のもどかしさ、生れ乍らの宿業に手向ける諦観、そして胸の奥にしまわれた秘密。光脈筋で出会ったヌシと理が諭す拒絶から寛容への物語、さて10巻へ、着地は何辺に。2019/10/10
眠る山猫屋
39
再読。比較的穏やかな九巻。蟲師という物語の、本質的な部分が語られているようにも感じた。『残り紅』の残酷な、それでいて切ない別れと再会。蟲は干渉したわけではなく、ただ人が触れてしまっただけ。『水碧む』もまた、望んだ訳ではない触れ合いが、生と死を歪めてしまう。それが必ずしも間違っていたという訳ではないのだが。2016/12/15
あっちゃん
22
数年ぶりに再読。影踏みの話の、幼少の頃のお爺さんがお婆さんにボコボコにされてる時の顔が忘れられない(笑)2013/09/26
王蠱
13
再読。「残り紅」の切なさは何度読んでも泣きそうになる2012/01/15
まりもん
12
友人に借りて読了。ギンコが最初は蟲寄せとして扱われていて、スグロと出会ったことで本当の蟲師に感銘を受けたんだろうな2012/02/05