内容説明
なぜ大江作品には翻訳詩が重要な役割を果たすのでしょう? 女性が主人公の未発表探偵小説は現存するのですか?──世紀を越え、つねに時代の先頭に立つ小説家が、創作秘話、東日本大震災と原発事故、同時代作家との友情と確執など、正確な聞き取りに定評のあるジャーナリストに一年をかけ語り尽くした、対話による「自伝」。最新小説『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』を巡るロング・インタヴューを増補。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
奥澤啓
73
本とは無関係の事を書きたい。つぶやきは消えてしまうので。憲法記念日に横浜で行われた護憲集会で、大江健三郎が総理大臣を「安倍」と呼びつけにしたことを産経ニュース(5月8日)で編集長の乾正人が非難している。一国の総理大臣を呼びつけにするとはけしからん。それは大江の嫌いなヘイトスピーチであると。「大江の新作は・・・」と言う時と同じように、総理を呼びつけにするのは何の問題もない。またヘイトスピーチとは特定の国や人種、民族等変更不可能な属性への差別的、侮蔑的言動をいう。大江の発言はそうではない。産経の見識を疑う。2015/05/13
テル35
58
「人生の親戚」について。「ある種の悲しみは、自分から切り離すことができないちょっと厄介な親戚のようなものだ」「そのような大きい悲しみと一緒に生きていながら、しかもじつにいきいき人を惹きつける、女性の生き方を描きたかった」作者の生の心情が語られる。一方で「お互いに苦しめ合う、悲劇的な状態に陥ったり、それを英雄的に乗り越えたりする、そういう恋愛を私は経験していない。そこで、小説にそれを書くことはできなかった」とも語る。2026/01/03
奥澤啓
39
私は大江健三郎の良い読者ではない。「死者の奢り」、「飼育」等初期の短篇は熱心に読んだ。大江語といっていいような、独特の語彙や文体の評論にはなじめなかった。『同時代ゲーム』は数ページで放棄した。しかし『新しい人よ眼ざめよ』や『懐かしい年への手紙』以降はできるだけ読むようにしている。本書はインタビュー形式で大江の生立ちから東大仏文での恩師渡辺一夫との出会い、読書と執筆が中心の生活、言葉との格闘、障害を持つ息子との生活、作品の制作過程等、大江文学を理解するヒントが随所にある。書庫の20分の1は辞書であるという。2014/12/30
かふ
23
インタビュアーは『大江健三郎の「義」』で鋭い批評を書いた尾崎真理子。彼女は晩年の大江健三郎の編集者で「晩年の仕事」のある部分は伴走者と言ってもいいかもしれない。大江健三郎の小説の悲観的結末ながらたえず伴走者がいながらこの世界で小説を書き続けている。そんな作家の生い立ちから代表作のことや友人たちのことなど、大江健三郎の入門書というよりも作品を読んだ後で作者にその作品のことについて聞きたかったことなどを話しているような内容で充実している。特に晩年の仕事で、伊丹十三の自殺とサイードの死に対して作品を捧げたとか。2023/04/30
多分、いのっち。
16
p.331 私の書いた小説が、印刷されている以上、残っているいくらかの本が、未来の少数者にこれは面白いと熱中してもらえることはあるかもしれない。 その時に私はお化けになって出て、「そうです。私は面白いことを書きました!」と言ってやろうと思っているところはあります。→これからたくさん大江さんの作品を読ませて頂きます。楽しみ。2024/09/29
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