内容説明
“愛のわからないかわいそうな子”そう言われたのは、ある雑誌の相談コーナーに援助交際をしていた事実を投稿したときのことである。夏樹は17歳のときからたくさんの男と寝ていた。好きでもない人、ただの友達、友達の彼氏、よく知らない人。そこに何を求めていたのか。当時の彼女には分からなかった。 27歳となった今、都内の書店で働いている。“愛”を探しに本へ迷い、書店で働くことを選んだ。しかし、今でも人間関係がうまく築けないでいた。寂しさを紛らわすため、既婚者や出版社の営業の男性と付き合い関係を持つ。だが、心の隙間は埋まらない。 ある日、夏樹は店で中年女性の万引きを目撃する。大学教授の妻である彼女の家を訪れた夏樹は、高校生の息子・光治と出会う。学校でのいじめに耐えながら、気丈に崩壊家庭を立て直そうとする光治に、夏樹は強く心を惹かれていく。 援交、いじめ、荒れ、DV、セクハラ、主婦症候群……。現代のさまざまな問題に揉まれながらも、もがき進む力強い小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kumako
22
人と関わっていないと寂しいと感じる人、弱い者いじめは連鎖すると信じる人は共感どころが多くて楽しめるのではないかと思いますが、私には合わないお話でした。ラストが気になって読み進めましたが、なんだかボンヤリとした結末でピンときませんでした。2021/06/20
背番号10@せばてん。
13
2010年3月5日読了。当時、佐藤江梨子さんの表紙に釣られて衝動買い。あらすじはもちろん、忘却の彼方。2010/03/05
2Tone
2
表紙のイメージと本屋を話題にしているから、想像していたのと全然違った内容でした。主人公の夏樹の行動には、どうしても違和感がありますが、そういう生き方もあるかも知れないと思うしかありません。 男だから判らないこともあるのかも知れませんが、光治と一緒にいて鹿島と合うのは、やっぱり出来ないとな〜と素直に思う。2013/09/19
岸野令子
2
解説の上野千鶴子さんがドンピシャの文を書いています。セックスの敷居が低くなり、愛という幻想から切り離された時代に、書店員のヒロインが、《母の万引き》で《家族》崩壊を体感している男子高校生と出会うことで、さびしいから誰かと寝るという弱さを見つめ直す。こんなふうに描かれた男の子っていとおしいではないか。作者は、ヒロインよりもこの少年を描きたかったのだろうと思う。女性が、こんなふうにあれかしと思う《男の子》像を見事に形象している。簡単に寝られる時代だからこそ簡単に寝ない男の子の「そんなこと言わないで下さい。全身2013/03/26
たつ
1
男の人に抱かれて、かまってもらえることに存在感を感じ誰とでも寝てします お金のためではなく 光治君の気持ちは分かるような気がした 人間の心の中は難しい、何をしたくて、何が幸せなのか2014/06/24
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