内容説明
時槻風乃は夜歩く。共犯者になるために――。
時槻雪乃のクラスメイトの古我翔花は、いつも雪乃の家で泣いていた。死んだ母親の形見の指輪を守りたいが、継母からの陰湿で残酷な嫌がらせにあい、悔しさと悲しみに明け暮れていたのだった。
そんな時、ゴシックロリータに彩られた人形的な美しさを持つ風乃に出会い――蒼衣が雪乃に出会う三年前、風乃が生きていた頃に起きた惨劇(「金の卵をうむめんどり」)他、イソップ童話を元型とした二篇に加え、画家・八純啓と騎士団の邂逅の物語を書き下ろし収録。完全版・第4巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
CPT
12
短編集。イソップの”寓話”がモチーフ。教訓めいた前半二話、人の悪意がもたらす悲劇を描いた三話、意味深な余話。「アリとキリギリス」がお気に入り。他人と自分の努力を比べるとき、果たして自分が勝っていると言えるのか?自分の努力は正しく目的へ向かっているのか?とちょっと考えてしまう。風乃の過去編もおもしろい。呪術廻戦の里香ちゃんが頭の中でちらつく。性格は異なるが同じ邪悪さを感じる。余話の八純啓って二森啓と関係あるのかなあ?”ほうかご”って誰かの泡禍?......などと想像力が膨らむエピソード満載でおもしろい!2026/02/15
栗山いなり
8
怪奇現象に対処する人々の戦いを描いたホラー小説にして電撃文庫出身作の完全版シリーズ第4巻。悲惨度は最後のエピソードを除けばそこまででもなかったけどグロテスクな描写があってそこがかなり怖かった。それと最後のエピソードはMW文庫で前に読んだ事あったけどだいぶ前で忘れてたからか新鮮な恐怖体験だった2026/01/24
椎名
7
イソップ寓話を元にした短編集。書き下ろしとなる「田舎のネズミと都会のネズミ」が良かった。やはり描きの存在は欠かせないというのもあるが、《泡禍》が唯一の自由であるというならではの設定が非常に面白い。金の卵をうむめんどり終盤での、「愛とは一面において、自分の信じたい世界の触媒に過ぎない」からの文章が印象深く、元々好きな短編だったこともあって新装版で改めて再読できたのは良かった。2026/01/04
龍田
6
イソップ童話モチーフにした短編。他の童話に比べて話のオチが教訓めいている。好きな話は『アリとキリギリス』真面目に勉強しても好きな男性にアプローチしなければ怠け者のキリギリスと一緒。『金の卵を産むめんどり』継母から実母の形見を守る翔花が怪物に。風乃の生前の姿は死後より弱々しい感じ。書き下ろしの『田舎のネズミと都会のネズミ』は関係ないけどチェーンソーマンがちらつく。2026/01/15
イツキ
6
イソップ童話をもとにした小さな泡禍を描く短編集。短いと言っても悪夢のえげつなさは変わらず、特に継母に指輪を盗まれそれを探すうちに自らも怪物に近づいていく少女が描かれる「金の卵をうむめんどり」は強烈。あまりにも強い他人の悪意に触れたことにより相手の行為を過剰に見積もって破滅に突き進む描写は、父親のあまりの無理解もあって本当に悲劇的でした。描き下ろしの「田舎のネズミと都会のネズミ」も良かったです。2025/12/31
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