内容説明
ポール・アトレイデスが、惑星アラキスで帝国の権力を奪いとり、遂に帝座について12年。彼を救世主と妄信する砂漠の民フレメンは聖戦を敢行、人類をひとつにした。だがいま、ベネ・ゲセリット結社、航宙ギルド、そして、ベネ・トレイラクスの踊面術士〈フェイスダンサー〉ら旧勢力は、糾合して皇帝への陰謀を企み、ひそかに策略の手を伸ばしていた!ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督により映画化された伝説的傑作『デューン 砂の惑星』続篇の新訳版
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
53
フレメンの「救世主」として崇め奉られ、デューンの皇帝となったポール。しかし、15年に渡る統治の末、選ばなかった道という死角も相俟って未来予知の力は複雑性を増していき、統治の為に「救世主」を絶対視したい神官達の思惑、ベネ・ゲセリット、中央権力を奪還したい旧皇族らの暗躍も絶えず、ポールは苦悩する。政を為す時に孤立する事程、苦難な事はない。そして刺客として送り込まれたヘイトは、肉体情報も魂も亡きダンカンと全く、同じだった。一方、子供に恵まれないチャニの原因が食事に避妊薬が盛られているというのがえげつない。2023/07/11
南北
48
『デューン 砂の惑星』の続編で三部作の第2部にあたる新訳である。皇帝となったポール・アトレイデスに対して陰謀を巡らす人々が暗躍する話なので、前作に比べて地味な印象は免れない。さらに自分の本心を隠しつつ、相手にフェイントをかけるような人物の対話が中心のため、退屈に感じる人もいると思うが、こういう展開は嫌いではないので、楽しむことができた。旧訳を中学生の時に読んで以来だが、新訳のほうが読みやすいように感じる。映画の続編制作決定により第3部となる『デューン 砂漠の子供たち』の新訳も出るようで今から楽しみ。2023/07/03
塩崎ツトム
23
欧米では英雄から征服者となったポールの変質に嫌悪を示す読者が多かったと序文を書いた、フランクの息子ブライアンが語っているが、こういう英雄譚はひょっとしたら今の日本人の方が馴染みがあるんじゃなかろうか。豊臣秀吉とか、平清盛とか、大久保利通とか。2023/06/05
Yuri
20
上司からの借本。少し間が空いても直ぐに戻ってこれる世界観。DVDも借りて観たからなのかもしれません。ポールが統治する世に沸き起こる政治的陰謀。引き続き下巻。2023/06/11
ふみふみ
15
「デューン」の続編、皇帝となったポールは自らを救世主と奉るフレメンが続ける聖戦と未来への幻視に苦悩する一方、宮廷では新たな陰謀が進みます。前作の冒険篇に比べて本作は苦悩篇と物語的にはスケールダウンしていますが、ひと癖も二癖もある登場人物たちの腹の探り合い、会話劇は壮大なSF戯曲といった趣で、この雰囲気と引き込まれ感は素晴らしいですね。下巻へと続きます。2023/05/13