- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
戦後の昭和は、世界的にも評価され黄金期を迎えた日本映画界を中心に、映像による多彩な大衆文化・サブカルチャーが花開いた時代だった。『昭和史講義』シリーズの最終配本となるこの戦後文化篇の下巻では、さまざまなジャンルの映画作品とそれをつくった監督たち、テレビドラマからアニメ、雑誌に至るまで、百花繚乱のメディア文化を、19の論点から第一線の研究者がわかりやすく解説する。『昭和史講義』シリーズを締めくくる完結篇にして、昭和文化史研究の総決算となる一冊。
目次
はじめに……筒井清忠
戦後文化における映画の重要性
松竹・東宝・新東宝
大映・日活・東映
多様な大衆文化の展開
第1講 戦後の木下惠介と戦争……花田史彦
野原しんのすけと木下惠介
兵士・木下惠介
戦後のなかの戦争(1)──『二十四の瞳』
戦後のなかの戦争(2)──『今日もまたかくてありなん』
中国と長崎
悔恨共同体を賦活する
第2講 『君の名は』と松竹メロドラマ……北浦寛之
『君の名は』ブーム
ラジオドラマの映画化
松竹とメロドラマ
女性向けの宣伝
『君の名は』のメディア展開
テレビ放映
『君の名は』以後の松竹メロドラマ
第3講 成瀬巳喜男──映画の面影……川本三郎
「小市民映画」という新たな息吹
遅れた監督昇進
P.C.L.への移籍と庶民への着目
戦意昂揚から離れて
戦後の映画界の試行錯誤の中で
女性映画と「普通」の女優の誕生
玄人の女性の生活を描く
戦争未亡人へのまなざし
林芙美子への共感
第4講 ゴジラ映画……谷川建司
核実験が産み落としたもの
ゴジラの皮膚の質感
放射能による生態系への影響の恐怖
メッセージ性を失ったゴジラ
輸出向けコンテンツとしての怪獣もの
第5講 サラリーマンと若大将──東宝シリーズ映画……西村大志
直木賞映画?
社長シリーズと若大将シリーズ
プロデューサー藤本真澄、松竹作品を明るく焼き直す
マンネリの効用
繰り返しと伝統芸能
東宝シリーズ映画の終焉
第6講 新東宝の大衆性・右翼性・未来性……片山杜秀
山口二矢と「セヴンティーン」
「エログロ三本立週間」
新東宝の最初の八年
大蔵イズム
『明治天皇と日露大戦争』
政治少年は死すとも新東宝は死なず
第7講 『叛乱』──日本における政治歴史映画の特質……筒井清忠
小説の映画化に向けて
青年将校の思想を肯定
空前の大作として大ヒット
俳優陣と映画のポイント
史実としての安藤の苦悩
史実との違いと処刑シーン
第8講 三隅研次と大映時代劇……吉田広明
三隅研次の位置
大映という映画会社とスタジオシステム
海外での評価
二人のケンジ
三隅の映画作法
プログラム・ピクチャーを見る意味
第9講 日活青春映画──「御三家」と吉永小百合……藤井淑禎
日活青春映画の出発
映画の危機
歌謡映画の季節
歌謡映画と過渡的時代
歌謡映画のテーマ
国民的女優・吉永小百合
歌謡映画からテレビドラマへ
第10講 東映時代劇……筒井清忠
内田吐夢監督の『大菩薩峠』三部作
仏教的因果応報観
伊藤大輔の〝襖による出消技法〟
マキノ雅弘と田坂具隆
その他の監督たち
『椿三十郎』と残酷時代劇
東映時代劇映画の特徴
第11講 任 映画興亡史──暗闇における殺戮のカタルシス……二階堂卓也
映画館の片隅で
それは『飛車角』から始まった
日活が追随する
東映・日活・大映の三つ巴
快進撃が続く東映
東映の独走と他社の脱落
衰退から消滅へ
第12講 「幕末維新」映画──大衆イメージに見る明治維新……筒井清忠
時代劇映画における「幕末維新もの」の確立
戦前の倒幕派映画
戦後の倒幕派映画
架空のヒーロー
佐幕派映画
幕末維新映画の意味
第13講 菊田一夫──歯を喰いしばる人生……神山 彰
人生という「芸道物」
ラジオの時代──占領下の記憶
戦後映画の黄金時代
テレビに向かない作家
共有記憶としての演劇
宝塚とミュージカル
第14講 少年少女ヒーローとヒロイン──『赤胴鈴之助』から『リボンの騎士』まで……樋口尚文
『赤胴鈴之助』の戦前の原点
「チャンバラ禁止」時代を抜けた解放感
「テレビ映画」の草分け『月光仮面』
『少年 楽部』とのダイレクトな接合
『隠密剣士』から『水戸黄門』へ
アメリカ文化の流入と『リボンの騎士』
第15講 東映動画とスタジオジブリ……萩原由加里
東映動画、そしてスタジオジブリへ
東映動画前史
東映動画の設立と「東洋のディズニー」
商業デビュー『白蛇伝』とスタッフたち
TVアニメの時代へ
『アルプスの少女ハイジ』と日本アニメーション
スタジオジブリの設立
第16講 長谷川町子、手塚治虫と戦後の漫画観……夏目房之介
長谷川町子と手塚治虫
手塚、長谷川の共通点
現在からは見えにくい排除
漫画の主流としての「漫画集団」
漫画概念と支持集団の闘争
第17講 『平凡』と大衆文化……阪本博志
『平凡』の沿革
『平凡』を軸とした大衆文化の展開
『平凡』を介した若者たちの活動──文通と「平凡友の会」
『平凡』をめぐる文化の特色
第18講 朝ドラ──主婦層を支えたビルドゥングスロマン……竹内里欧
「朝ドラ」パラダイム成立以前
「朝ドラ」パラダイム成立以後──「女性の成長物語」路線の定着
『おはなはん』──「平凡な女性」の物語
『雲のじゅうたん』──職業への夢をとおして生きる女性
『はね駒』──職業と家庭のはざまで悩む女性
女性の「成長物語」とビルドゥングスロマン
朝ドラと「本来の」ビルドゥングスロマンとの相似
第19講 被曝者・伊福部昭と水爆大怪獣・ゴジラ……片山杜秀
日曜作曲家
被曝する兄弟
幻のヴァイオリン協奏曲
被曝者は被爆者に共感する
ドシラと下がってシで止まる
大楽必易
編・執筆者紹介
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Inzaghico (Etsuko Oshita)
田中峰和
あるまじろの小路
辻井凌|つじー
-
- 電子書籍
- 妻と恋人 おぼれる男たちの物語 中公文庫
-
- 電子書籍
- 14歳のエレジー 絶望中学生日記116…
-
- 電子書籍
- 俺以外誰も採取できない素材なのに「素材…
-
- 電子書籍
- 新装版 魔法先生ネギま!(14)
-
- 電子書籍
- 時代の証言者 日比谷公園 「松本楼」の…