ちくま新書<br> 昭和史講義【戦後篇】(上)

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ちくま新書
昭和史講義【戦後篇】(上)

  • 著者名:筒井清忠【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 筑摩書房(2020/08発売)
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  • ISBN:9784480073402

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内容説明

戦後昭和史はこれまでさまざまに語られてきたが、実証的研究に基づいて客観的に史実を描いたものは少ない。左右対立の激しかった戦後直後こそ、何が起きていたかをイデオロギーから中立に描くことが求められよう。第一線の研究者が一般読者に向けてわかりやすく説き明かす昭和史講義シリーズ・待望の戦後篇。上巻では占領期、天皇・マッカーサー会談から55年体制の成立、60年代の自民党抗争史までを20のテーマで通観する。真の歴史を知りたい人に贈る最先端の現代史入門。

目次

まえがき……筒井清忠
第1講 天皇・マッカーサー会談から象徴天皇まで……福永文夫
はじめに──昭和天皇とマッカーサー
新日本の建設──平和国家、民主国家、文化国家
天皇・マッカーサー会談と人権指令
憲法改正問題と東京裁判
天皇の「人間宣言」と公職追放令
マッカーサーの天皇擁護
象徴天皇制の成立過程
GHQ対日本政府──象徴天皇と九条
おわりに
第2講 戦後改革……福永文夫
はじめに──戦後改革か、占領改革か
占領改革の三類型──先取り改革
日本国憲法の誕生──民主化最大のモニュメント
民主化改革の加速
改革の終結に向けて──内務省解体
「逆コース」のはじまり──吉田茂の占領政策是正の要求
おわりに──戦後改革の遺産
第3講 シベリア抑留……長勢了治
ヤルタ会談と日ソ戦
抑留者数と死亡者数
「ダモイ(帰国)」の と苛酷な移送
ソ連の収容所管理体制、収容所管理総局(グラーグ)と捕虜抑留者管理総局(グプヴィ)
シベリア三重苦(飢餓、重労働、酷寒)
重労働、奴隷労働
暁に祈る事件
酷寒(マロース)
思想教育とシベリア「民主運動」
ドイツ人と日本人
国際法と帰国(ダモイ)の遅れ
無実の囚人、長期抑留者
第4講 復員と引揚げ──戦争終結後の人の国際移動……浜井和史
国境線の変更にともなう人の移動
軍人・軍属の復員プロセス
一般邦人の引揚げプロセス
「非日本人」の送還
残留日本兵と残留日本人
復員兵と引揚者の戦後
「死者」の残留と送還
第5講 東京裁判──被告東条英機のケースから……高杉洋平
勝者の裁き
誰が「責任」を被るのか
東条の自殺未遂
国家弁護と天皇免責
米国のジレンマ
東条への工作
東条の「失言」
刑死とその意味
第6講 日本国憲法……大石 眞
ポツダム宣言の受諾と降伏文書への署名
占領管理体制と憲法改正問題
舞台の転換──GHQの「憲法制定会議」
マッカーサー草案から憲法改正案の確定へ
憲法制定議会(制憲議会)としての第九〇回帝国議会
憲法制定史上の問題──「自主性を以てやったと云ふ自己欺瞞」の意味
現行憲法体制の成立──主権の回復と最高法規性の獲得
第7講 新憲法と世論の変遷……境家史郎
日本人の憲法観をめぐる虚実
新憲法はなぜ受け入れられたのか
逆コース期の改憲運動と世論
高度成長期における憲法意識の変化
革新主義者の改憲論、保守主義者の護憲論
保守回帰と消極的護憲意識の高まり
第8講 吉田茂内閣──時代で変化する吉田路線とワンマン宰相……村井哲也
はじめに──吉田路線の歴史評価
戦後政界への登場
移行期としての第一次内閣
政権下野から吉田復権へ
講和条約への権力基盤
ワンマン宰相の盛衰
総辞職後の再評価
おわりに──吉田路線の行方
第9講 戦後共産党史──レッドパージから六全協まで……福家崇洋
コミンフォルム批判とレッドパージ
四全協から五全協へ
日本共産党三〇周年記念
六全協の「統一」
第10講 朝鮮戦争と日本……庄司潤一郎
「アジア」からの離脱
伝統的安全保障環境の変化と国民の安全保障認識の欠如
日本の貢献
犠牲と避難
貢献に対する評価と要因
対照的な日米・日韓関係への影響
見直されるべき朝鮮戦争の意味
第11講 再軍備から自衛隊創設まで……佐道明広
初期占領方針
冷戦と占領方針の変化
朝鮮戦争と警察予備隊
講和と再軍備問題
「スモール・ネービー構想」と米海軍
自衛隊創設へ
五五年体制と自衛隊
第12講 サンフランシスコ講和条約・日米安保条約……楠 綾子
「ヴェルサイユの教訓」
冷戦と対日講和
吉田茂の選択
サンフランシスコ講和条約
日米安保条約
「講和と安保」の射程
第13講 李承晩ラインと漁業問題……永島広紀
突如の宣言
マ・ラインと李ライン
平和線と李ライン
二人のプランナー
竹島問題とは?
日韓会談と漁業問題
久保田発言の波紋
刑余者の送還問題と北朝鮮の影
李承晩の退陣と軍事クーデター
妥結する漁業問題、棚上げされる竹島
第14講 ラストボロフ事件──日本を舞台とした米ソ情報戦……進藤翔大郎
事件の概要
アメリカにおける資料公開とラストボロフ事件
ラストボロフとイギリス
ラストボロフを巡るCICとCIAの縄張り争い
CICによるプロジェクト・スティッチ作戦
ラストボロフが用いた日本人エージェントたち──志位正二を例に
アメリカが用いたダブルエージェント──細川直知を例に
戦前の活動に向けられた疑惑の目──エコノミストを例に
第15講 鳩山一郎内閣……武田知己
鳩山一郎という人物
戦後の復活と悲劇
「鳩山ブーム」の虚実と第一次・第二次鳩山内閣
保守合同の機運
第三次鳩山内閣の成立
激突国会
鳩山内閣が残したもの
第16講 砂川闘争・基地問題……川名晋史
戦後の基地問題
砂川事件
内灘事件
ジラード事件
地上部隊の撤退と小康状態
六八年問題
九大墜落事故
ジョンソン マケイン計画
国防総省の再編計画
議会の懸念
関東計画
第17講 五五年体制の成立と展開……小宮 京
「五五年体制」とは何か
戦後政党の出発と再編
公職追放解除と政党再編
社会党の分裂と中道の終焉
重光首班工作と第五次吉田政権
吉田政権の終焉と鳩山一郎政権の樹立
参議院における五五年体制
五五年体制の展開
第18講 自民党抗争史……池田慎太郎
派閥抗争の始まり
一九六〇年総裁選
「実力者内閣」から「秘書官内閣」へ
一九六四年総裁選
政界を覆う「黒い霧」
「佐藤四選」から「角福戦争」へ
第19講 戦後賠償問題……波多野澄雄
「賠償」の登場
ポーレー賠償計画
マッコイ声明の波紋
対日講和と賠償問題
「二つの中国」と賠償問題
日韓「賠償」問題
「経済協力」の功罪
第20講 日ソ共同宣言……武田知己
敗戦・講和・冷戦と日ソ関係
平和攻勢への転換
対日接近の開始
吉田から鳩山へ
ドムニツキー書簡をめぐって
交渉の四段階と三つの対立
幻の合意
休会中のかけ引き
漁業交渉という転機
豹変と恫喝
第二次モスクワ交渉と日ソ共同宣言の調印
おわりに
編・執筆者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Book Lover Mr.Garakuta

14
【図書館】【速読】:近代史(昭和時代)の解説本。政治外交など少し硬めの話。2022/02/20

かんがく

7
テーマの選び方とかは面白いけど、各章が短すぎて物足りないかも。2020/12/12

gkmond

0
「新憲法と世論の変遷」「李承晩ラインと漁業問題」「ラストボロフ事件」「砂川闘争・基地問題」「日ソ共同宣言」が面白く読めた。2025/04/16

あるまじろの小路

0
昭和史講義シリーズの戦後編。最近の歴史なのでニュースなどでも話題になることが多く知っているようでいて、意外と知らなかったり勘違いして理解していることが多いです。天皇制の存続についてはマッカーサーの昭和天皇との会見よりずっと前からアメリカは認める方針でいたこと、ソ連などの他の連合国の体勢が整う前に新憲法を既成事実化するべく作成を急がせたこと、また日本側でもGHQの意を汲んで幾つかの改革については自主的に進めていたことなど。本書にはそれ以外にもシベリア抑留や復員の実態、戦後賠償など様々な発見がありました。2023/04/05

K

0
扉に「入門編」とあるけどそうなのかな…わたしの知識不足のせいなんだろうけど。ああだったこうだったというchronologicalな話よりも、テーマの分析・論考的なものを期待していたので、ちょっと違うかなと感じる講もあった。他では二度と見ないようなマニアックな固有名詞を出すより、出来事が歴史的にどんな意味を持っているのかの解説にもっと字数を割いてほしいというか。上巻は終戦〜50年代の話だけど、昭和の時代から未解決のまま今にそのツケがまわってきている事象が多くあるのだなと感じさせられる。2021/04/17

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