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内容説明
いよいよ教皇選が始まった。仮設の壁で仕切られた密閉空間で、枢機卿23名は寝食をともにしながら連日投票を行う。各枢機卿の思惑が錯綜するなか、第一回と第ニ回の投票では決着がつかず、教皇選出は第三回へと持ち越されることになった。シエナで吉報を待つチェーザレ。もし、父・ロドリーゴが新教皇になったらどうするかと問われると、「教皇庁をぶっ壊す」と宣言する。チェーザレ野望はどこまでも果てしない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
96
15世紀末、システィーナ礼拝堂で行われたコンクラーベ(教皇選)の続きが描かれる。ミラノ、ナポリ、そしてフィレンツェ、各派各人の思惑が錯綜。その選挙戦が渾沌とする中、スペイン人であるロドリーゴ・ボルジアが見せつけた圧倒的な存在感と駆け引き力が印象的だった。さらにその成功の陰には息子チェーザレの策略の言葉があったのだ。親子共々の胆力ぶりに感服。本作は今巻で完結だが、これまで描かれた人物像から想像を膨らませて歴史を追ってみたい。卓越した美しい画と一人の青年が破壊の創造者へと向かうドラマを堪能した。著者に感謝。2022/01/24
ツン
93
完結!という帯を見て思っていたのと違いました。ここで終わっちゃうんですね。。コンクラーベの実態みたいなのが見られたのはおもしろかったですけどね。2022/01/26
くたくた
55
ここで終演かあ。ちょっと残念。タイトルまたはサブタイトルを変えてシリーズ2、といってほしいところだけど、手間の掛かる作品だけにいろいろと都合があるのだろうか・・・・なにはともあれ、ルネサンス期のコンクラーベを始めとした社会政治情勢や文化を堪能した。
星落秋風五丈原
50
1巻表紙が最終形態のチェーザレ(髭アリで軍服)だったものだから、てっきり赤い衣を脱ぎ捨ててからの話も描かれると思っていたら、本書が最終巻。筆者の健康上の理由等も囁かれている。二度の選挙を経ても教皇が決まらないヴァティカンでは、ミラノ派、ナポリ派が他陣営を取り込もうと働きかける。ドラマでは相当札束や利権が飛び交った様が描かれるが、本巻ではロドリーゴが教皇の娘となったルクレツィアの結婚をほのめかすにとどまった。教皇戦の決着がついて後、点描のようにフィレンツェ、フランス王、教皇一家の様子が描かれる。2022/01/22
りー
43
「盛り上がってきたぞー」と前巻で喜んでいたら、まさかの完結で、吃驚しました。むしろここからが表舞台な気がしますが、仕方ない。塩野七生さんのチェーザレを再読してその後を想うか(;_;)。塩野さんのイメージがあまりに強すぎて、ひっくり返してもらえるのを待っていたのだけれど。レオナルドのファンとしては、ここまで彼の生きていた時代を再現して描いてくれて本当に有り難かった。この巻もモザイクタイルの絵が凄い。1巻から読み直すと別の感慨が生まれる気がするので、是非折を見てチャレンジしたい。2022/01/23