内容説明
寒さ和らぐ如月、不忍池のまんなかに侍の屍骸が浮かんでいた。定町廻りの八尾半四郎が身元不明の侍の変死体を検屍するのは、ふた月足らずの間で、すでに三人目である。いずれも遺体の懐中から木彫りの猿と葛の葉が見つかった。半四郎はひとり目の男が殺された湯島切通の岡場所を再び訪ねると、敵娼の女は忽然と姿を消してしまったと聞く。探索を進めると、殺められた侍らはみな同じ藩の火消役だったことがわかり……。下手人が残した暗示と蔭で蔓延る悪をあばくべく、熱き同心魂を胸に半四郎はひた奔る! 傑作新装版、第十七弾。
感想・レビュー
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やま
69
剣の冴えが凄い、サスペンスドラマ…。町方として唯一袖の下を受け取らない頑固者だが、ずば抜けた探索力を持つ定廻り同心の八尾半四郎、元会津藩士で会津真天流の遣い手の浪人・天童虎之介と、半四郎の叔父で元風烈廻り八尾半兵衛の活躍を描いた物語です。此度、曰窓、土俵の鬼六、拾う神、の短編3話の中で、相撲取りの六兵衛が、関脇、大関との対戦が面白い「土俵の鬼六」が良かったです。🌿続く→2022/04/29
アニータ
3
八尾半四郎の叔父、元風烈廻り同心の八尾半兵衛、ちょっと無理をしましたね。危ないところでした。半四郎、頼りがいのあるおいっこなのでもっと甘えたらいいのに、と思います。人情味あふれる作品群ですが、おまつや三左衛門の登場がなかったので残念です。2022/09/01