内容説明
グローバリズムの進展により、ついには小学校で英語を教えるまでになった。このままではやがて、英語の発音が少しばかり良いだけの、無教養で薄っぺらな日本人で溢れることになる。今、必要なのは流暢な英語より教養。そして惻隠の情、卑怯を憎む心、正義感、家族愛――つまり「日本人の美徳」である。国の愚策を憂い、故郷への想いに胸が熱くなる「週刊新潮」連載の名物コラム、ついに最終巻。(解説・伊与原新)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mayumi
22
週刊新潮に連載されていたコラムの最終巻。今作でも藤原節は炸裂。豊富な知識とキレのある批判、そして思わず笑ってしまうユーモアなど、最終巻であることが寂しくなってしまう。今後は長編に取り組まれるとのこと。それを楽しみにするとして、長年の連載お疲れ様でしたと言いたい。2022/04/23
Masa
2
書店文庫新刊コーナーにて発見、購入。週刊新潮連載の藤原先生のエッセイ管見妄語、最終巻。連載中はこのエッセイを読む為だけに新潮を立ち読みしたし、無論単行本も持っている。では何故文庫も買うのかと問われれば、それは偉大なる数学者藤原正彦への敬意である。愛である。少なくとも3回は読んだ訳だが、再読に値するエッセイなど滅多に無い。連載中の壇蜜のエッセイ、だんだん蜜味ではダメなのだ。2022/03/07
カノープス
2
現代エッセイの書き手として、私の中で浅田次郎と双璧なのが藤原氏だ。一本の質の高さと計算された構成には目を見張るものがある。信州の田舎の風景を切り取った描写。特に土地の人の言葉は、今、まさにその場所で暮らしている私の中にすんなりと入り込み、一気に風景が広がりを持って立ち上るほどにリアルだ。著者独特のユーモア溢れる作品も楽しいが、死にまつわる静謐なエッセイの完成度は群を抜いて素晴らしい。日本を愛し、家族を愛し、自然を愛する心が真に迫る書き手を他に知らない。連載終了をこれほど残念に思うことは無いだろう。2022/01/02
CEJZ_
1
1P15行。元の本は2019年刊。エッセイ集。2018年まで10年間続いた週刊新潮の連載エッセイ、「管見妄語」をまとめたシリーズ最終巻。藤原正彦は数学者であり、作家新田次郎の次男。わたしがこの「管見妄語」のエッセイ集を読んだのは2冊目だが、もっと早く知っておけばよかったと思っている。もっと読みたいから、いつかさかのぼって既刊を読むつもりだ。愛情をこめて妻や息子を愚妻や愚息と書いたりするような表現は、今後のエッセイストや文筆家からはなくなっていくのかな。男性がそのように書くことが多いように感じる。2022/04/08
とむ
0
卑近な話題から大局を見据えた話題まで、ユーモアとチクリとした表現で楽しませてくれる。2022/01/23