内容説明
多くの鉱山を開拓し、家康さえも一目置いた稀代の傑物・大久保石見守長安。彼に立ち向かい護衛の伊賀忍者たちと激戦を繰り広げる不敵な無頼者「六文銭の鉄」の活躍を描く、爽快感溢れる忍法帖!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
317
買ったまま読んでいなかった忍法帖。六文銭の鉄を快男児と思えるかは現代の感覚では微妙なところで、むしろ嫌悪感抱く読者の方が多い気がするが、あまりにも弱すぎるのに大物ぶっている伊賀忍者が気の毒で、しかも無駄に個々の背景をしっかり紹介してくるものだからだんだん楽しくなってきてしまう。冒頭でいきなり長安の妾に完敗してるのは、あまりにもひどい扱い。修行による技術の習得に継続性がないという、長安の口を借りた風太郎の考え方はかなり先進的ではないか。散々馬鹿やった後のしんみりする結末も山風作品でしか味わえない良さ。2024/12/11
タツ フカガワ
66
徳川家康のもと、全国の金山を統括する大久保石見守長安は、佐渡島で金山将軍として権力をほしいままにしていた。そこに長安の命を狙う女忍者朱鷺が現れ、彼女の美貌に魅せられた“六文銭の鉄”と名乗る無頼の男が手助けをする。伊賀組の精鋭5人と必殺の道具を使う妾5人が長安を警護するが、六文銭は彼らを次々と倒していく。いったいこの男は何者? 長安の史実に沿いながら戦車や連発式拳銃が出てくれば、果ては性欲体温計という発明品まで登場する伝奇小説。この奇抜さは、一度味わったら癖になります。今回も楽しい読書でした。2025/10/15
けやき
53
【再読】自分のランキングでは、山風の忍法帖でもベスト5に入ると思える傑作。大久保石見守長安に六文銭の鉄と朱鷺が挑む。六文銭の鉄の正体とその明かされ方が好き。鉄と朱鷺は純愛だったんだなぁ。2023/06/22
shincha
44
徳川に世が傾いていく時代、佐渡の金山の利権を1人で握り徳川に財源をもたらし、自らは佐渡の王として君臨した大久保石見守長安。60歳を超えてもなお超人的な精力と気力を保っている。大阪方真田の密偵の朱鷺は、江戸の無頼漢、六文銭を利用し、佐渡に渡り長安を狙うが…伊賀忍者との闘いや当時としては最高の武器を駆使して戦う六文銭。やはり…ただものではなかった。面白かった!2025/10/29
サケ太
26
破格の面白さ。六文銭のあだ名を持つ、鉄はある女六部と出逢う。それが、佐渡において未来的な思想を持つ大久保長安と科学兵器を持つ五人の妾たち、それぞれが名人芸を持つ五人の忍者たちとの戦いの始まりとなる。この、鉄という人物が非常に魅力的。女のために忍者も倒すが、自分の欲望も果たす。その人柄が面白い。この男の起こす騒動にハラハラさせられながらも、虚しさを感じさせる終幕がまさしく山田風太郎作品。2021/11/24
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