内容説明
乗鞍丞馬と名乗った飛騨の浪人は、将軍の御前試合で得体の知れぬ幻法、妖術を使ってすでに六人を倒していた。だが七人目に立った旗本、宗像主水正の剣が丞馬の片腕を叩き切った。幻術は破れたのである。それは主水正の背後に見た女の面影のせいであることを丞馬は知っていた。飛騨の幻法は女を恋したときに破れる。やがて主水正の妻となる女、お美也に、丞馬は一目で恋したのだった……。秘めたる恋に生命を賭け、飛騨幻法を駆使して愛する女を護りぬいた最後の忍者の凄絶な一生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほしけも
6
幕末から明治を舞台にした近代兵器vs奇怪な忍法 忍法帖はお上のアホな事情で死んでいく忍者たちという図式が多いんだけど これは本人の情熱が本人と、周辺の人間を滅ぼしていく話。 一途といえば聞こえは良いが、ハーレム漫画のごとくまとわりつく女達を 邪魔だと理由で次々殺す鬼畜主人公。敵も主人公も1人の女に目が眩んで 余りある才能を散らしていく。ハイ、皆死んで終わり!!って感じで清々しい。2016/02/17
モヒート
5
気がついたら、Kindleで山田風太郎本が大量に読めるようになっていたという嬉しい驚き。ヒロインお美也様が、言うことはご立派だけど、実際はすぐに相手のペースや場の雰囲気に呑まれちゃう人なので、最後まで…いや、ラストの行動には最高にイラッと来た。とはいえ、『愛する人と、それ以外』の扱いの差が極端な主人公と、幕末の動乱は読み応えあった。2015/06/27
北白川にゃんこ
3
虚しい…実に虚しい山田風太郎の一作。いつもの事ではあるが。主人公が強過ぎて一瞬で敵が死ぬのには虚しさと笑いがある。2020/08/18
辺野錠
3
忍法帖の中ではマイナーな気がするけど幕末の激動の中で忍法VS近代兵器の戦いが繰り広げられるというシチュエーションはやっぱり好き。せがわまさき版山田風太郎漫画は魔界転生の次はこれを漫画化してほしいくらい。歴史上の人物が絡んだ波乱万丈な敵討ちとその物悲しい幕切れが印象に残る。2016/07/08
ベック
2
これは、あまり褒められた作品ではない。