内容説明
文・武にわたる国力増強で独立主権国家・日本の確立をめざした福澤諭吉の外交政策論。維新から十余年、一国の独立維持と経済発展を図るための内政と外交のプログラムを綴った渾身の力作『時事小言』。西洋列強に蝕まれつつある清国、属領意識をぬぐえない朝鮮など、東アジア諸国との葛藤を脱するまでの曲折と、安政条約の改正に関する時事論を収録する。
目次
第Ⅰ部 時事小言
時事小言
第Ⅱ部 東アジアの外交政策
朝鮮の交際を論ず
東洋の政略果して如何せん
牛場卓造君朝鮮に行く
我輩の所望空しからざるを知る
脱 亜 論
朝鮮人民のためにその国の滅亡を賀す
朝鮮の滅亡はその国の大勢に於て免るべからず
第Ⅲ部 外交論・条約改正論
外交の思想養成せざるべからず
外 交 論
通俗外交論
条約改正始末
法典と条約
非内地雑居論に就て
条約改正の結果如何
条約改正の公布
日本と英国との同盟
解 説 西川俊作
福澤における条約改正論 岩谷十郎