内容説明
身よりをなくした茜とすみれの姉妹が京都岡崎の「月白邸」に暮らすようになって早2ヶ月。屋敷の主で人嫌いと噂される若き天才日本画家・青藍はいつのまにか、すみれに叩き起こされ、茜の作る朝ご飯で一日を始める毎日を送るようになっていた。初雪が舞い散る年末のある日、大掃除中に茜は美しい清水焼きの酒器を見つける。屋敷の元主、月白さんが雪の降る日に愛用していたというこの酒器を修理するため、茜と青藍たちは清水に住む「遊雪」という名の陶芸家のもとを訪ねるのだが……。その他、「花なき里」という名の舞扇の物語、亡き父母の思い出の詰まった喫茶店の物語など、京都の美しい季節と人の〈色〉と〈色〉が織りなす、優しい3つの再生物語。
目次
一 月雪花を探す
二 雪の舞扇子
三 父の竹取物語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
147
身寄りをなくした茜とすみれ姉妹、大切な人を失った青藍と陽時。京都岡崎の「月白邸」を舞台に描かれる心の再生物語の二作目。前作より物語の輪郭がよりはっきりして世界観に入り込めた。みんなそれぞれお互いを思いあっていて優しさに溢れてる。喪失感は深いけど、焦らずゆっくりと…。月白邸なりの家族の形をこの先も読んでいきたい。茜が作る風情ある料理(高校生でこれってすごい)、青藍さんの美しい絵画、何より京都の四季の描き方が美しくて、そちらの視点からも楽しめる一冊でした。2021/07/07
ツン
116
1000年の歴史を背負わないといけないプレッシャーというのは想像できないくらいすごいと思います。ただ、変わらないのが正しいのかな?東院家が今の地位に登ったのはこれまでの常識を変えるような絵を描いたからだと思うけど。それにしても、全然才能が生まれないことだっていくらでもありそうなのに、一世代に一人ずつ、ちゃんとすごい天才が生まれているのは恵まれているような。それとは別に青藍さんと茜ちゃんの関係がどうなるか、気になるけど、落ち着いているから忘れちゃうけど、彼女は高校生なんだよね。。2021/07/31
真理そら
76
青藍の中では子猫も家族に仲間入りなのかな。月白さんがいなくなってから閉ざされていた青藍の心は茜すみれ姉妹の影響で少しずつ外にも向かうようになってきた。妹・すみれの幸せのために自分の寂しさや焦りを抑えている茜だったが若き日の両親を知る人たちと会って泣いたことで少しは気持ちが楽になっただろうか。格式ある家の当主としての責任と自負、そして自分に流派を支えるだけの絵の技量がないことも見えてしまう珠貴になぜか感情移入してしまう読者なのである。2022/06/10
ぶんこ
52
待ちに待った2作目。茜もすみれも、そして青藍も陽時も各々心に寂しさを抱えていて、人生に不器用。それだけに4人が支えあっているのが頼もしい。青藍の描く桜の木周りに、今回もお仲間が増えました。亡くなってしまった父や母の、茜の知らなかった若き両親の日々が少しはわかってきました。母の比奈子さんが喫茶店に住み込んでいたことがわかったものの、まだわからない事だらけ。知らないままにしておいたほうがいいのか。茜さんはどうなのだろう。ところで、せっかくこわもての青藍さんにだけ懐いていた2匹の仔猫に里親出現。淋しい。2022/04/23
よっち
45
身よりをなくした茜とすみれが月白邸に暮らすようになって早や2ヵ月。大掃除中に月白さんが愛用していた酒器を見つけた茜は、青藍とともに清水に住む陶芸家・遊雪のもとを訪ねる第二弾。遊雪さんによる酒器の金継ぎと語られる過去の思い出、「花なき里」という名の舞扇の物語、茜たちの亡き父母の思い出の詰まった喫茶店の物語。三人が月白邸で過ごす日々が日常になりつつある中で、まだ時間は掛かるかもしれないですけど青藍の喪失感や、父母の不在を痛感する茜も少しずつ前を向けるようになっていけるといいな、と思わずにはいられませんでした。2021/07/24
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