内容説明
陽光に青紅葉が美しく映える初夏のある日、茜は学校の課題のため、青藍の仕事部屋の縁側から見える月白邸の庭を写生していた。青藍とすみれと陽時、大好きな人たちに囲まれて大切な場所の絵を描く時間の幸福に茜が満たされているその傍らで、陽時が青藍の古いスケッチブックを見つけ出す。そのなかにあった、1枚の不思議な絵について問われると「なんでもない」と言って青藍はスケッチブックを閉じる。高校時代の青藍の姿が明らかになる『約束の青紅葉』、蛍飛び交う思い出の景色を天才ピアニスト少女が探し求める『蛍の音』、青藍と陽時に決断の時が迫る『おひさんの色』の3作品を収録。じんわり優しい京都の家族再生物語、初夏の章…!
目次
一 約束の青紅葉
二 蛍の音
三 おひさんの色
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツン
98
レール通りに進むのが全然苦痛じゃない人もいる。だけど、その人も、その生き方を選びたかったわけじゃないかもしれない。最後のセリフ、そうだなって思いました。2022/12/02
真理そら
63
高校時代の青藍さんの物語や陽時クンの金髪の理由など盛り沢山。ピアニストや陽時姉にもそれぞれ事情があるし、それは理解できるけれど初対面の茜ちゃんに対する態度は人間としてどうなの?と思ったりしつつ素顔の陽時クンの悩みも知ることができ、今回も岡崎の静かな生活に浸れて満足でした。。2023/06/09
よっち
33
初夏のある日、学校の課題のため青藍の仕事部屋の縁側から見える月白邸の庭を写生していた茜。彼女の傍らで陽時が青藍の古いスケッチブックを見つけ出す第四弾。高校時代の青藍の意外な友人と当時の姿が明らかになったり、蛍飛び交う思い出の景色を天才ピアニスト少女が探し求める理由、気ままに生きてきた陽時に決断の時が迫ったりと、今回もいろいろとありましたけど、これまでが良くなかったとしても、いつまでもそのままではいられなくても、新たな関係として前に進むことはできますよね。少しずつでもいい方向に変われるといいなと思いました。2022/11/17
らび
31
名家であればあるほどそこに君臨するとの自負や自尊心は思う以上に尊大なのでしょうか。それに個の優劣が加わるとちょっと時代錯誤的感が強いんですが中の人にはそれこそが誇りとなりそう?突出した才能は周囲の庄も強そうだけど当人のメンタルが相当要求されそうで極めることが更に高みへと行くんだろうな。蛍が加わるかと思ったけどそこまでじゃないか・・腐れ縁というけれど良縁なのですよ。青藍と陽時のような友が友で有ればいい。2023/01/19
はなりん
24
シリーズ第4弾。月白邸でのいびつだけど優しい家族の物語。月白邸での日常と陽時の葛藤が更に家族としての絆を深めた。4人それぞれが家族と大切な場所としての月白邸を守ろうという想いが溢れていて、読後優しい気持ちになる。2023/04/16