内容説明
「ほうっておいても、あっという間にそのときは来る。みんな同じように地上から消えて、思い出だけが残る。だから、泥水を飲むような思いをしたり、甘い蜜を舐めたり、月を眺めたり、友達と笑いながらごはんを食べたりしてゆっくり歩こう」。大切な友と愛犬、愛猫を看取り、悲しみの中で著者が見つけた人生の光とは。心揺さぶる名エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
桜もち 太郎
19
題名の如く、大切な人や動物との別れの話が多い。読む時期によっては励まされる。抜け殻を撫でると生きているときと同じ感覚の手触りがやりきれない。魂が無くなった抜け殻って感覚や死んだら無になる生死観は自分に似ている。ばななさんのように、友達や飼っている動物が多い分、感謝の気持ちが持てるし、深みのある人生が送れる気がする。いつかはみんな死んでいく。泰然自若に死んでいけるのだろうか。今のところ無理だよね。でもこの本のように、生きることも死ぬこともゆっくり自然と受け入れらたらなと思う。「あら〜、抜けちゃったな」→2024/08/01
ミス レイン
8
前巻の「これから嵐がやってくる」という思わせぶりな結びが気になっていたのですが、今回の事柄では多分ありませんよね?でも、急に親友と愛犬、愛猫が他界してしまい、茫然としている著者の様子がつぶさに感じられました。まさに帯にあるように「みんな急にいなくなってしまった」。よく小説や映画で、人ひとりいなくなったところで世界は変わらず動いていくといった表現を見かけるけど、近しい人や愛情を持っていた人にとっては急激な世界の変容でしかない。エネルギーの質と量の話に、会社で浮上するもやもやがすっと晴れました。2021/06/24
ちいこ
7
ちまちまと読み進めました。毎回、中の写真がカラーだったら…と思ってしまう。2021/08/10
sazen
5
★★★★「追悼」という言葉は一度も出てこなかったけれど、1から10まで亡くなった友達のことで出来上がっている本。家事について、死んでしまった犬について、とか他のことも書かれているが、ばななさんはその友達のことしか書きたくなかったんじゃないか、そういう感じの本。その友達の死に様や生き様が壮絶すぎて何も思えない。友達を看取った医者が彼女の選択を生き様ごと肯定していて、素晴らしかった。普通なら「何でこんなになるまで放っておいたんだ」とか言いがちな立場であるだけに。2021/11/09
こぴり
3
吉本ばななさんの本は高校生か大学生の頃以来。 エッセイを読んだのは初めて。40代目前になって、自分や周りの人の死について生の延長として前より身近に感じ考えるようになってきていたところに、タイトルに惹かれて図書館で借りた。 「ほうっておいても、あっという間にそのときは来る」だから、「ゆっくり歩こう」と。 死はこわい。死まで行かなくとも色んな悪いことがこわい。変化がこわい。でも、出来ることはただただ今を慈しむことなんだなぁ、それしか出来ないんだなぁと思った。2022/02/17