内容説明
船強盗が横行しているという話が持ち上がった。遊山船を専門に狙う強盗である。遊山船というのは、芸者や遊女を乗せて「座敷を まるごと船に積み込んで川を下る」と言う贅沢な船である。乗っているのは金持ちが多いから結構な稼ぎになる。おまけに川を使って逃げてしまうので追いかけようがない。また、遊女を乗せているとなると岡場所扱いになるから奉行所に届けることもできない。盗賊からするとやりたい放題である。しかも奉行所には遊山船を守れない事情があった。遊山船は吉原の商売敵である。吉原の利権を守る立場の幕府としては遊山船を守ることができないのだった。そこで町奉行筒井は、月也に捜査を命じる。 遊山船に沙耶と月也が芸者一行として潜入して、犯人を捕まえることに。そして、音吉、牡丹、沙耶、おりん、おたまに加え、鰻屋のさきも加えて「音吉芸者組」として船に乗り込むことになった。やがて、船に乗り込んできた盗賊団と対決することに……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kei302
60
めおと同心バディ捕物帖。大盗賊をおびき寄せるアイデアや遊山船上の捕物の場面が面白かった。 事件がもや~っと解決したり、 ここのところちょっと中だるみ気味だっり(上から目線)していたけど、シリーズ第9弾は読み応えがありました。 火盗改めの日下、意外といいヤツでした。次も楽しみ。 2021/02/28
Nyah
55
遊山船を専門に狙う強盗がいるという。遊山船というのは、芸者や遊女を乗せてまるでお座敷を 丸ごと船に積み込んで川を下るお大尽遊びである。被害者は遊女を岡場所以外で連れ回していると奉行所に届け出せないわ、盗賊は船上から川に逃げてしまうわでなかなか表に被害が出ない。そこでまた月也は捜査を命じられる。沙耶の仲間で遊山船を仕立て、強盗を誘き寄せる。/ 深川に巾着切りが集団でやってきて、掏摸と戦いになると目される。音吉と沙耶が祭りを見ていると巻き込まれて‥/ 読み易くて癖になりますね。2022/08/22
nemuro
53
思い付きで始めてみた「自宅本棚の本のタイトルによる“しりとり読書”」。該当本が辛うじて1冊(「で」)とか、首の皮一枚で繋がったようなピンチも何度か乗り越えながら地味に継続中。『青春ふたり乗り』に続き「り」から始まる65冊目では、今回を逃せばたぶんずっと未着手となりそうに厚い『六花の印』(本文682頁)を敢えて選定。すでに読みかけ本6冊に『超芸術トマソン』(本文483頁)『怪盗ニック全仕事3』(本文454頁)らの大物を抱える中にあってうっかり。シマッタ!これはいかん。慌てて投入しサクサクと読了の本書である。2022/01/02
ぶんこ
46
「遊山船」という芸者や遊女を乗せた川の上のお座敷遊びが流行り、それを狙った盗賊も出没。盗賊を捕まえるために沙耶組が一致団結して盗賊を誘き寄せます。またしても食事の場面が魅力的。最近は夫婦捕物よりは、江戸時代の旬の材を使った料理を楽しむ読書となりつつあります。盗賊や巾着切りを捕まえるのは、準備段階は面白いのですが、捕物場面のあっけなさに拍子抜け。毎回牡丹の活躍が素晴らしい。肝がすわっています。2021/03/22
らび
35
今回はチーム沙耶組が芸者組となりの大活躍!盗賊をおびき寄せる遊山船上の大掛かりな仕掛け、の割に簡単にお縄になる、捕り物て言えるほどのことでもなく「え~あっけない」潔よいとも言えますがなんだか?もう1つは年の瀬市での掏摸を一網打尽にとっ捕まえる沙耶と音吉の見事な作戦で無事解決。ホントに月也とどっちがどうなんだか、まあ2人がそれで満足だから良いのか。お互いの羽子板を買いあうなんて可愛いですね。月也さん10枚とは・・大好きですね。2021/03/02