ちくまプリマー新書<br> よみがえる天才1 伊藤若冲

個数:1
紙書籍版価格
¥1,100
  • 電子書籍
  • Reader

ちくまプリマー新書
よみがえる天才1 伊藤若冲

  • 著者名:辻惟雄【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 筑摩書房(2020/04発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480683748

ファイル: /

内容説明

私は理解されるまでに1000年のときを待つ――。生前、名声をほしいままにしながら、その後、幾世紀にもわたり忘れ去られた存在であった若冲は、代表作《動植綵絵》のうち一五幅を描き上げたとき、この謎めいた言葉を残した。そこに込められた秘密とは? 若冲研究の第一人者がはじめて明かす、知られざる若冲像。

目次

第1章 生い立ち──画家としての出発
若冲が生きた時代の空気感
画家たちの個性が花開いた時代
「芸術」がなかった時代の「芸術家」
奇想の芸術
青物問屋の後継ぎとして誕生
孤独癖と、仏教と
絵画への熱中
明清画からのインスピレーション
長崎派の別のくくり
南蘋画風を若冲の世界へ本歌取り
仏教と花鳥画への熱中
初々しさのなかの若冲らしさ
写生は生気まで写し取ること
第2章 《動植綵絵》制作──画家としての名声確立
若冲花鳥画の真骨頂《動植綵絵》
それはどのように生まれたのか?
仏を荘厳する絵画
五〇歳で自分の墓を建立
なぜ花鳥画だったのか
天与の色彩感覚
色彩効果の最大化のために
どこまでも濃密な画面
生きとし生けるものすべてを慈しんだ
〈貝甲図〉に現れたアニミズム感覚
〈雪中錦鶏図〉の不可思議な雪
「神技」の超細密描写
コラム1 若冲は人物画が苦手?
第3章 若冲画の世界──その多様さ、おもしろさ
現実に始まり、現実を超えていく目
写実とデザイン感覚の融合
若冲はトランプを知っていた?
赤いハートの謎
ユーモア感覚と、独特の形態感覚
「墜落」という不思議なモチーフ
表現の冒険と幾何形態
水墨画の冒険──鹿苑寺大書院襖絵
コラム2 《動植綵絵》は隠し絵の宝庫?
若冲の謎に迫る科学者たち
画中に隠される相似形
〈芍薬群蝶図〉のなかの隠し絵
新発見の絵にも隠し絵が
第4章 画業の空白期と、新たな若冲像
二〇年の空白期
モノクロームの版画で新境地を開く
若冲はたんなる絵画オタクではなかった!
中国の高僧に、宗教心をアピール
石仏群で描いた釈迦の一代記
若冲が「発明」したモザイク画
升目画のヒントは西陣織?
コラム3 作品にひそむ科学の視点──フラクタルと進化論
描かれたフラクタル
北斎やダリも知っていた?
表現された突然変異
第5章 激変した生活──最後まで画家であり続けた晩年
大火事で家もアトリエも失った
私と若冲との最初の出会い──西福寺襖絵
金一色に主題だけのシンプルな画面
アメリカ人コレクター、プライスさん
米一斗の画家
工房制作への切り替え
奇想天外なモザイク風
若冲の「四の字嫌い」
老いてなお、ほとばしる生命力
大胆奇抜な〈象と鯨図風〉
最後まで画家であり続けた
コラム4 精神医学からみる若冲の絵画表現
計画性と細部へのこだわりが同居
モザイク風は写経と同じ?
ASが多重視点を生んだ
若冲の性格もASに合致
あとがき
若冲年表
参照文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tamami

53
若い頃その画家に魅せられ、以後六十年余を江戸時代以来埋もれた伊藤若冲を現代に蘇らせることに傾注した著者による、生涯、主作品、作品誕生秘話等々を網羅した画家の紹介本。新書版ではあるが、若冲作品の主なもの六十点余りがカラー図版で掲載され、作品の微細な部分にまで踏み込む解説で、その魅力を大いに語る。また、信仰と画業に生きた人若冲、という定式化された見方に対して、町人としての若冲の事蹟に一章を割き、現代の心理学的知見から見る若冲など、様々な視点から若冲の人となりに迫っている。機会を見つけて是非本物を見たいものだ。2022/08/30

ホークス

43
2020年刊。若冲研究の第一人者による、新書なのにかなり詳しい入門書。カラー図版多数。私は40才過ぎて絵を観はじめたけど、若冲には本当に驚いた。超絶技巧、稠密さ、鮮やかさだけでなく、様々な遊びが尖っている。生物を正確無比に描きながら、無生物にも生的な揺らぎを与える。江戸時代とは思えない点描やドット絵。鶏に代表される自在で幻惑する動き。著者が指摘するのは「一貫した奇妙さ」。それは飛び抜けた好奇心を示す。鳳凰の優美な羽に描かれた原色のハートマーク。図鑑みたいな蛸にくっつく可愛いミニ蛸。観るたびに楽しい。2021/07/26

瀧ながれ

33
今でこそ人気が高く、美術館に人が列をなす若冲だが、数十年ほど前には、知る人ぞ知るというくらいの存在感だった記憶がある。若冲というと辻惟雄の「奇想の系譜」が連想され、わたしの中で辻氏は、若冲を蘇らせた人、くらいの信頼を寄せているのだ。こっそりと、若冲の描く水とか雪とかなんか粘っこくない?と思ってたけど言えなかったけど、辻氏が書いたので言ってもいいのだ、粘っこいよねえ、やっぱり! 若冲の生涯や生活から、彼の絵画への影響をやさしく深く解説。作品はカラーで紹介され、読み始めたら止まらないおもしろさです。2020/11/13

Tadashi_N

21
暮らすための絵を描かずに済んだ、技術も資金もある自由な絵描き。2020/11/18

白隠禅師ファン

13
若冲絵画研究の第一人者が、伊藤若冲の絵画と生涯について書いた本。青物問屋としての若冲の一面もよくわかったし、単なる絵画オタクではないことがわかったのは良かった。あと『樹花鳥獣図屏風』は、工房制作として作られたというのも驚きでした。若冲70代の頃の作品らしい2025/03/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/15501444
  • ご注意事項

最近チェックした商品