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内容説明
私は理解されるまでに1000年のときを待つ――。生前、名声をほしいままにしながら、その後、幾世紀にもわたり忘れ去られた存在であった若冲は、代表作《動植綵絵》のうち一五幅を描き上げたとき、この謎めいた言葉を残した。そこに込められた秘密とは? 若冲研究の第一人者がはじめて明かす、知られざる若冲像。
目次
第1章 生い立ち──画家としての出発
若冲が生きた時代の空気感
画家たちの個性が花開いた時代
「芸術」がなかった時代の「芸術家」
奇想の芸術
青物問屋の後継ぎとして誕生
孤独癖と、仏教と
絵画への熱中
明清画からのインスピレーション
長崎派の別のくくり
南蘋画風を若冲の世界へ本歌取り
仏教と花鳥画への熱中
初々しさのなかの若冲らしさ
写生は生気まで写し取ること
第2章 《動植綵絵》制作──画家としての名声確立
若冲花鳥画の真骨頂《動植綵絵》
それはどのように生まれたのか?
仏を荘厳する絵画
五〇歳で自分の墓を建立
なぜ花鳥画だったのか
天与の色彩感覚
色彩効果の最大化のために
どこまでも濃密な画面
生きとし生けるものすべてを慈しんだ
〈貝甲図〉に現れたアニミズム感覚
〈雪中錦鶏図〉の不可思議な雪
「神技」の超細密描写
コラム1 若冲は人物画が苦手?
第3章 若冲画の世界──その多様さ、おもしろさ
現実に始まり、現実を超えていく目
写実とデザイン感覚の融合
若冲はトランプを知っていた?
赤いハートの謎
ユーモア感覚と、独特の形態感覚
「墜落」という不思議なモチーフ
表現の冒険と幾何形態
水墨画の冒険──鹿苑寺大書院襖絵
コラム2 《動植綵絵》は隠し絵の宝庫?
若冲の謎に迫る科学者たち
画中に隠される相似形
〈芍薬群蝶図〉のなかの隠し絵
新発見の絵にも隠し絵が
第4章 画業の空白期と、新たな若冲像
二〇年の空白期
モノクロームの版画で新境地を開く
若冲はたんなる絵画オタクではなかった!
中国の高僧に、宗教心をアピール
石仏群で描いた釈迦の一代記
若冲が「発明」したモザイク画
升目画のヒントは西陣織?
コラム3 作品にひそむ科学の視点──フラクタルと進化論
描かれたフラクタル
北斎やダリも知っていた?
表現された突然変異
第5章 激変した生活──最後まで画家であり続けた晩年
大火事で家もアトリエも失った
私と若冲との最初の出会い──西福寺襖絵
金一色に主題だけのシンプルな画面
アメリカ人コレクター、プライスさん
米一斗の画家
工房制作への切り替え
奇想天外なモザイク風
若冲の「四の字嫌い」
老いてなお、ほとばしる生命力
大胆奇抜な〈象と鯨図風〉
最後まで画家であり続けた
コラム4 精神医学からみる若冲の絵画表現
計画性と細部へのこだわりが同居
モザイク風は写経と同じ?
ASが多重視点を生んだ
若冲の性格もASに合致
あとがき
若冲年表
参照文献
感想・レビュー
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tamami
ホークス
瀧ながれ
Tadashi_N
白隠禅師ファン