ちくまプリマー新書<br> よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

個数:1
紙書籍版価格
¥946
  • 電子書籍
  • Reader

ちくまプリマー新書
よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

  • 著者名:澤田典子【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2020/11発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480683861

ファイル: /

内容説明

稀代の軍事的天才、戦略家――。わずか十年で前人未到の大征服を成し遂げるも、32歳の若さで世を去ったアレクサンドロス。歴史に比類なき足跡を残した彼の生涯は、死後二千数百年経た今なお人々の想像力を刺激する。そのあまりに巨大な「伝説」ゆえに、時には輝かしい「英雄」として、時には血に飢えた「暴君」として描かれるアレクサンドロスの「実像」に迫る。

目次

はじめに──ヴェルギナのアレクサンドロス
第1章 アレクサンドロスに迫る
「マケドニア王」としてのアレクサンドロス
ローマのアレクサンドロス伝
「失われた歴史家たち」
二極分化したアレクサンドロス像
「ローマの創造物」
「アレクサンドロス・モザイク」
第2章 東地中海世界とマケドニア
アカイメネス朝の興隆
ペルシア戦争
ギリシア世界を操るペルシア
前四世紀前半のギリシア世界
マケドニアの登場
ギリシア世界への参入
前四世紀前半のマケドニア
フィリポス二世による国家改造
マケドニアの軍隊
コラム1 サリッサは「超強力兵器」か?
マケドニアの社会
ペルシアの影響
ギリシア制覇への道のり
なぜギリシアを征服できたのか
第3章 アレクサンドロスの登場
「英雄」の誕生
母オリュンピアス
「もう一人の父」アリストテレス
父を模倣する
「お家騒動」
フィリポス二世の暗殺
アレクサンドロスの即位
コラム2 ヴェルギナの王墓
バルカンの平定
第4章 ペルシア帝国の打倒
東方遠征論の系譜
遠征の始まり
グラニコス河畔の戦い
小アジアの都市の「解放」
イッソスの戦い
フェニキアの占領
アレクサンドリアの建設
「神の子」
ダレイオス三世との最終決戦へ
アカイメネス朝の滅亡
ペルセポリス宮殿の炎上
ダレイオス三世の死
第5章 果てしない征服
東方協調路線の展開
フィロタス事件
中央アジアでの苦戦
クレイトス刺殺事件
跪拝礼の導入
カリステネスの死
「暴君」アレクサンドロス
インドへの侵攻
ヒュファシス河畔の「騒擾」
東方遠征の完了
オピスの和解
最期の日々
なぜペルシアを征服できたのか
東方協調路線の意義
アレクサンドロスの原動力
アレクサンドロスは神になろうとしたのか
アレクサンドロスのしたこととは何だったのか
第6章 シンボルとしてのアレクサンドロス
神話化の始まり
「アレクサンドロス帝国」の瓦解
ローマのアレクサンドロス
プルタルコスのアレクサンドロス像
「アレクサンドロス・ロマンス」
イスラーム世界のアレクサンドロス
ヨーロッパのアレクサンドロス
アレクサンドロスに憧れる人々
ギリシアのアレクサンドロス
コラム3 マケドニア問題──「アレクサンドロス」の争奪
歴史研究のなかのアレクサンドロス──ドロイゼンとターン
コラム4 「ヘレニズム」とアレクサンドロス
新しいアレクサンドロス像
コラム5 「もしアレクサンドロスが……」
あとがき
アレクサンドロス年表
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

美紀ちゃん

69
アレクサンドロス大王は世界一の王で32歳の若さで亡くなったが人々をひきつける魔力のような輝きを持っていた。超強力兵器の「サリッサ」すごい。父はヘラクレスの末裔、母はアキレウスの末裔。アレクサンドロスはギリシア神話の2大英雄の血を引いている。武力征服、侵略、民族絶滅戦争、凄まじい戦いを繰り返して世界一の王になる。アレクサンドリア都市を創建。王室日誌によると死因は熱病。マラリア、急性膵炎、腸チフス、西ナイル熱、毒殺など様々な説がある。死後2千数百年たった今でも威光を放ち伝説になって語り継がれている英雄。 2021/04/06

ジュンジュン

17
近年のアレクサンドロス研究には、二つの潮流があるという。従来の「史料批判」の批判と、マケドニア王国史の深化。古代人にしては史料は豊富ながら、そのすべてに"ローマ人の価値観”というフィルターがかかっていて、実像を復元するのはほぼ不可能。その行き詰まった現状に、発展著しいマケドニア王国史からアプローチしようとする。本書はそんな最新研究を消化しながら、また違った大王像を見せてくれる。軍事的に傑出しているが、英雄でも暴君でもない生身の、古代を生きた君主の姿を。2021/01/01

ピオリーヌ

16
研究史の丁寧な整理によって時代によって姿を変えるアレクサンドロス像が克明に浮かび上がってくる。2020年の刊であり、最新の研究同行にも敏感。ちくまプリマー新書というレーベルであるが、誰にでも勧められる一冊と感じる。父であるフィリッポス二世との比較でいうと、プルタルコス以前はフィリッポス二世の評価が高く、彼がそれを逆転させた。昨今のフィリッポス二世研究の深化からか、フィリッポス二世こそがアレクサンドロス三世より偉大なのではという論調も増えてきた。1900年ぶりに評価の逆転が起こりつつある。2021/03/03

さとうしん

12
彼の死の直後、場合によっては在世時からのアレクサンドロス伝説の形成と、彼の実像を追う。歴史の重層性を考えるための絶好の題材ということになるだろうか。そしてそれはアレクサンドロスの東方遠征とセットで語られてきた「ヘレニズム」の評価や、現代の国家としての「マケドニア」という国名にも及んでいく。2020/11/18

chang_ume

11
アレクサンドロス大王前史、そして後世の大王伝説の拡大・受容が興味深い。前史については、ヴェルギナ王墓調査後に進んだフィリッポス2世の再評価と「個人的君主政」などの古代マケドニアの特質に関して。後世の大王伝説は、幻想的な伝奇物語群「アレクサンドロス・ロマンス」が変形に次ぐ変形を重ねながらイスラム世界を越えて伝播したことに驚き。現在でも欧米圏では大王を題材にビジネス書(!)まで刊行されるらしく、日本の織田信長人気に近いものがあるなと。ならば、尊敬人物に信長を挙げる者と同様に、大王を称揚する者には注意が必要だ。2022/08/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16757295
  • ご注意事項