内容説明
揺れるクリミア。妖病の新たなる解釈。
太古の昔、医術と魔術とは、同一のものであった。
その技術を継承し続ける者たち。その者たちは、魔法医師と呼ばれていた。ドゥンと呼ばれる様々な《妖病》の原因。それに感染することで、人は伝承の中に存在する魔物に身を変える。故に、魔法医師は必要とされ続けている――。
だが、その魔法医師も《妖病》に冒されることがある。
魔法医学の権威・ガレノス。
彼は治療法が不明のドゥンに感染し、その命を削りとられていた。
そして、彼の元に5人の魔法医師が集う。
彼の治療を巡って、技を競い合う魔法医師たち。
その一方で、ガレノスの身辺について、奇妙な事柄が浮かび上がってくる。
サキュバスの存在と、石化の邪眼を持つ少年。
クリミアの他に呼ばれた医師たちとガレノスとの内縁関係。
そして、ガレノスは何者かにドゥンを植えつけられた……。
果たしてガレノスと、それらとの関係とは。
そして、ガレノスの妖病の意外な真相とは。
ヴィクターの師、フレデリーク・ナイチンゲールも登場し、クリミアとヴィクターの旅は次のステージへ。
魔法医学の特異な一面が記された第3集。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
26
魔法医学の権威・ガレノスが治療法が不明のドゥンに感染し、彼の元にクリミアたちを含めた5人の魔法医師が集められる第三弾。治療したものには自らの遺産を全て与えるとするガレノス、呼ばれたガレノスと血縁がある個性的な医師たちと謎めいたヘルメス、そしてヴィクターの師フレデリークやサキュバス、石化の邪眼を持つ少年の存在。次々と施術が失敗する中で露呈した発病原因はどうにも自業自得な感もあって苦笑いでしたが、自らがどうすべきか揺れるクリミアと、そんな彼女を複雑な想いで見つめるヴィクターが今後どうなるか、次巻も楽しみです。2016/04/19
かんけー
15
生々しい描写が圧巻の第3弾。クリミア達魔法医師の師匠..と云うか結社の教授ガレノスが病に倒れたと?ガレノスに対する恨み怨み妬み..そんな狡猾な思いを秘めて弟子?たる魔法医師達は悪夢館へと?純粋に心配してるのはクリミア、ヴィクターコンビのみで。各キャラの本音が建前を無視して暴走してるのも(笑)相変わらずで他のラノベ作には見られない本作の特徴として抜きん出てる(^^;ミステリーホラーらしく想像を絶する様な展開を何のてらいも無く表現し、読者を迷いと生理的嫌悪感の坩堝に落とし込んで?伏線も巧妙で、えっ?!てな→2016/06/02
サケ太
14
やはり好きなシリーズ。正体不明のドゥンに感染した魔法医学の権威・ガレノス。 治療のため呼び出された四人の魔法医師。治療を行うそれぞれの医師たちは何者かにより次々とドゥンに感染させられていく。そしてドゥンについて何かを知る青年ヘルメス。今回はミステリー的な展開でバトル要素は少なめ。いつもに比べて山田風太郎的な印象を受けないのは〈鉄槌〉の面々がいないせいか。それでも面白い。事実に揺れるクリミア。新たな謎。今後も楽しみなシリーズ。2016/04/25
ヱロ本Gメン
11
変態性が薄れ真っ当な物語になっている分、逆に物語の魅力が薄れてしまった印象。病に意味を持たせ過ぎでもっと破茶滅茶でいいはず。勢い重視でよろしくお願いしたい。2016/04/28
サエズリ割津
10
前巻よりトンデモ具合は減ったものの十分面白かった。魔法医学の権威であるガノレスに自分を治療してほしいと呼ばれたクリミアとヴィクターとその他の優秀な魔法医師たちが館で起こる奇妙なドゥン絡みの事件を解決する話。ヘルメスがクリミアとヴィクターをやけに揺さぶってると思ったら案の定でした。表紙のアロマ使いで褐色美女のイングリドさんにはもった活躍してほしかった。思わぬ結末と、乳に関する斜め上の真実がロジカルに荒唐無稽で手代木先生らしい。妖術医師やドゥン、それにガマエに関する伏線が今後どのように回収されていくか楽しみ。2016/05/07