内容説明
彼女は言った――「魔物など、存在しない」。
太古の昔、医術と魔術とは、同一のものであった。
それを忘れた人々は、《妖病》と呼ばれる病の患者たちを、魔物と称し、忌み嫌った。
魔法医師の少女・クリミアと、彼女の幼なじみであり重大な妖病を抱えるヴィクターは、その治療法を探して旅を続ける。あるとき立ち寄った街にて、彼らは「もう一人の自分」と会話する少女と出会う。ドッペルゲンガー。魔法医学においてはすでに原因が判明しているはずの病だが、なぜか原因が見つからない。奇妙に思う二人に対し、少女は――首無しの魔物デュラハンの元から逃げてきたと告げたのだった。
――理性を持つ首無しの生物。
長き歴史を誇る魔法医学界にも資料のない現象。では、それは理論では説明のつかない本物の魔物か……? しかしクリミアは、魔物の存在を認めない。自分のために、ヴィクターのために……。
時を同じくしてクリミアとヴィクターの元に、非道な研究で悪名を轟かす魔法医師が現れる。ヴィクターの妖病を知り、解剖したいと迫る彼女だが……。
はたして、デュラハン、そして少女のドッペルゲンガーの正体とは?
魔法医学史上、もっとも稀な事例を取り扱った、第二集。
物語を彩るのは気鋭のイラストレーター・ニリツ!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
25
旅を続ける魔法医師クリミアとヴィクターが「もう一人の自分」と会話する少女と出会う第二弾。今回は臓器売買組織を率いるデュラハンの元から逃げてきたドッペルゲンガーの少女を巡る騒動に二人が巻き込まれ、それに解剖医キャスパーや教会の「鉄槌」四人組も介入するカオスな展開。それぞれを追う展開の中、遭遇するたびに発生するバトルで登場人物が次々と退場するのに、テーマが意外な方向に向かってシリアスな感じがしない不思議。命を救おうと奮闘するクリミアとそれを支えるヴィクターの絆は良かったですし、面白くなってきたので次巻も期待。2015/12/20
ナカショー
21
何だろう・・・凄いシリアスな展開なのに敵対している相手が腸だというのが凄いシュールでしたwいや、面白かったんだけどね。この腸の下りを絵でみてみたい感はあるのでマンガ化してほしいですね。次巻も楽しみです。2016/05/01
かんけー
14
今巻は前巻以上に破天荒なお話し。自身の分身たるドッペルゲンガーと会話する少女、コゼット。其れを狙う謎の笑い仮面の男ブレムミュアレ、クリミアとヴィクターは謎の(又(^_^;)女魔法医師ヴァネッサと知り合いコゼットを巡ってデュラハン、鉄槌(マルテル)と三つ巴の死闘を繰り広げる。流石にガガガ系、表現描写に躊躇いが無い(*_*)凝れでもかと○○○の応酬。辻褄合わせとは思えないその専門用語の数々に?と。クリミアとヴァネッサの主導権争いはヴィクターを巻き込み三角関係をも併発し(笑)ブレムミュアレの生い立ちに...と→2015/12/31
ヱロ本Gメン
13
いや〜腸ってすごいな、ってお腹を撫でたくなる小説。そして人体ってすごいな〜って笑いがもれる。人体模型みながら書いているんじゃないかしら?伊賀の影丸姫宮村の人達もびっくりだよ。デュラハンにも〈鉄鎚〉にも。ニクヘビちゃんたちのイラストが欲しかった〜(笑)漫画化熱望!2016/01/24
ツバサ
12
ピンチの時に、敵や技名でナチュラルに笑わせてくるのやめてほしい。笑ってしまう。変則的な敵や珍しく設定なのに流れが王道だから、そこまで嫌な感じにならないのが凄い。作品のバランスがとれている。2019/12/12