内容説明
古手問屋の隠居・九郎右衛門は愛妻・お民を亡くした悲しみを趣味の骨董蒐集で癒す日々。それでもお民を偲ぶ気持ちは日増しに募り、ついには墓前で出くわした鴉を彼女の生まれ変わりと信じるまでになっていた。そんなある日、妻の遺品を整理していた九郎右衛門はある異変に気付く……。表題作ほか全六編。人気時代小説シリーズ、堂々の第二十集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
陽ちゃん
5
購入して積ん読していた一冊。京で公事宿の居候菊太郎が身近で起きた事件をうまく解決していくわけですが、ただ罰するのではなく彼らが再起できるように骨を折るところが読んでいて救われます。2018/12/02
Akiko Nakano
2
シリーズ20巻目、よくぞここまで色々なストーリーを描けると思う。リズムもテンポも良く、読みやすい。あっという間に1冊完読。2022/10/10
いえのぶ
2
京都の公事宿の居候で町奉行所同心の兄が事件を解決する。解決シーンは短く事件に関わる人々の優しさや悲しさが描かれている。タイトルの短編はカラスを亡くなった妻の生まれ変わりと捉える老人のはなし。2014/02/24
fengui
1
京都の公事宿に居候する菊太郎の物語。 事件が起きて、解決だけではないお話し。 彼は人生の裏と表を見てきたからなぁという解決方法が多々。 でも弟さんはお役人さんだからあまり困らせないようにね。 表題作の「鴉浄土」は私もそんな鳥に出会うことがあるのかしら、と考えてしまいました。2014/02/13
qoop
1
公事宿の居候を主人公にしたこのシリーズももう20冊目か。主人公も公事宿の人々も何となくギスギスした会話をしてるように聞こえるんだけど、そうじゃないって云うのが面白い。京都人の日常会話と思考の在り方が判るようで興味深い。読み続けていて新鮮な所以。本巻では、人が変わっていくきっかけを一風変わった視点で読ませてくれた〈鴉浄土〉と〈木端の神仏〉が良かった。2014/01/02