内容説明
作戦の転換が功を奏して、旅順は陥落した。だが兵力の消耗は日々深刻であった。北で警鐘が鳴る。満州の野でかろうじて持ちこたえ冬ごもりしている日本軍に対し、凍てつく大地をとどろかせ、ロシアの攻勢が始まった。左翼を守備する秋山好古支隊に巨大な圧力がのしかかった。やせ細った防御陣地は蹂躙され、壊滅の危機が迫った。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
309
この巻でも、まだ戦争は続いているのだが、陸の戦闘もやや膠着状態、海は相手のバルティック艦隊がノシベで大停滞の状態。そんなこんなで、この巻は司馬遼󠄁太郎の筆法も、これまでとは大きく変わって、諸事説明的なものに。当然スピードと緊張感は失われ、読者もまた小休止しつつ、蘊蓄めいた章段に付き合うことに。軍の経費から、艦の性能、謀略戦から、果ては軍歌まで。それらの中では明石元二郎を中心とした謀略の章が最も興味深かった。時あたかもロシアでは革命の機運が高まりつつあった。そしてそのロシアに支配されたポーランドと⇒2026/07/29
ehirano1
244
#大山巌の器の大きさに驚愕。#秋山(兄)は逃げない、死力で闘う、まさに漢。#著者がロシア皇帝にブチギレ。#ロシアは諸外国に嫌われ過ぎ。#スパイ明石は意外とチー牛(まあ、スパイが目立っちゃダメですわナ)。#ロシア皇帝ガチカウントダウン。#かの「血の日曜日事件」は偶然の産物だったとは驚き。#和議成立後に双方の指揮官が戦闘について学会レベルで議論し合う。#203高地以降も部下の引きが悪い乃木将軍(泣)。2025/06/15
yoshida
238
黒溝台会戦からバルチック艦隊の航海、明石元二郎の大諜報まで。特筆すべきは明石元二郎の大諜報と思う。ロシアという専制国家は既に旧弊の時代。革命の気運が高まる中、燃え始めた革命の火を燃え上がらせたのは明石元二郎の功績が大きいと思う。実際には日本海海戦後もロシア陸軍は健在であり戦争継続は可能であった。一方、日本の財政は限界であった。それで講和が成立したのは外相小村寿太郎の力と、ロシアの革命気運の高まりにあると思う。日本は国家としてこの諜報活動の功績を伝えるべきであった。それにより後世の歴史も変わったと思うのだ。2018/07/03
mitei
169
ロシア国内の革命前夜の雰囲気がすごいな。クロパトキンにもう少し能力があったら日本史が変わってたかもなぁ。2010/01/27
koji
156
司馬さんは、この巻で一つの思考実験をします。もしロシアが日本に勝てば、国会議事堂は高等警察本部になり、日比谷公園にギリシア正教の大伽藍が造られ、横須賀・佐世保は一大軍港に、対馬には銃殺刑の執行所を設けられると占領の状況を描いてます。これは帝政ロシアの恐ろしさと同時に、現代の露ウ戦争につながる既視感を感じます。そう考えると、司馬さんが描いた当時の日本の軍人の規律、高潔さ、戦略眼、鷹揚さ、及び兵士の士気の高さは今の日本も救ったのですね。もう一つ本巻の明石元二郎の大諜報。ここは佐藤優さんの見解を聞きたい所です2024/04/17




