内容説明
日清戦争から十年──じりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、日本は恐れおののいた。「戦争はありえない。なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。しかし、両国の激突はもはや避けえない。病の床で数々の偉業をなしとげた正岡子規は、戦争の足音を聞きながら。燃えつきるようにして逝った。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
259
正岡子規が逝く。そして日露戦争が始まる。これ以上満州でロシアの軍備が拡張されれば日本は太刀打ち出来ない。座して亡国を選ぶのではなく独立を保つためにやむ無く立つ日本。グランドデザインとしては満州でロシア軍と決戦し何とか六分の勝ちとし、講和に持ち込む。制海権を確保するための旅順港閉塞作戦と実力封鎖。陸軍は金山・南城の戦いで初めて近代要塞を知り多大な犠牲を出すが何とかロシア軍を北へ押し返す。秋山好古の豪胆さ、機雷で戦艦2隻喪失の報告を受けた際の東郷平八郎の豪胆さに感嘆する。悲しくも明治の血が満州の大地に流れる。2018/04/14
ehirano1
244
遂に子規が逝き、落涙。一方で、遂に日露戦役が勃発。結果を知っている今だからこそですが、日本側の人事が秀逸過ぎ。加えて、任命された人材のメンタルが揃いも揃って鬼メンタルだし、彼らを抜擢した上層部のメンタルもこれに同じ。こうゆうのを胆が据わっているというのでしょうね。また、戦争は残酷ですが、そこに咲く一輪の美談として広瀬武夫とアリアズナの件は唯々尊い。2025/06/14
ちくわ
189
子規死んじゃうんかーい!の絶句と共に開幕。升さんも主人公じゃなかったぞなもし? 感想…人間賛歌だよな…ビリビリと心が奮える。と同時に『オレは彼らみたく活き活きしてんのかな?』と悲しくなってしまった。その根源は国のせいでも政治のせいでもない…単純に自分自身が歳とともにギラギラした冒険心を喪失したから(泣)。さて日露戦争が始まった訳だが、自分が習った内容と大きく異なり驚く。国力差で言えば、佐賀が福岡と戦うみたいなモン?そして終盤、モテ男広瀬も散る…ただ、子規も広瀬も大いに活きて死んだ。オレも活きたい!(号泣)2025/08/06
いおむ
176
いよいよ開戦、好古と真之以外にも多くの人物のエピソードが語られ面白い。2017/08/13
mitei
173
ついに子規がなくなり、そこから高浜虚子、河東碧梧桐など弟子が日本の短歌を支えていくと思うと感慨深い。しかし時代はいよいよ日露戦争へと進む。そこまでの外交交渉が当事者にとって艱難辛苦の連続だったのだろうと思うと再び感慨深いものを感じる。2010/01/27