内容説明
あることから、おれはCIAの深い怨みを買う破目に陥った。CIA対中国諜報機関の抗争に巻きこまれ、在日米軍基地内の生物化学兵器研究所を丸焼きにしてしまったのだ。以来、おれは逃亡につぐ逃亡を重ね、あるときは数十メーターの地底に生き埋めにされ、一月ほど前には、北海道知床の山奥で、プロの殺し屋に剥製にされかかり、いままた謎の特務工作員に追われている。おれの名は、犬神明、職業はフリーのルポライター。おれはふつうの人間ではない。満月のときは超常能力を発揮する不死身の男。おれは狼人間だ……。平井和正“アダルト・ウルフガイ”シリーズ第2作のノン・ノベル版が、生頼範義の表紙画&挿絵で復刻!
目次
地底の狼男/狼よ、故郷を見よ/人狼、暁に死す
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
beachtimelong98
4
Amazon Kindleにて。 「地底の狼男」「狼よ故郷を見よ」「人狼、暁に死す」の三作品が収録された中編集。 作品が発表された70年代始めごろの終末感というか悲観論というか人類へのあきらめとそれでも捨てきれない愛情に充ち満ちた一作。 だからといって読み辛いかというと全然そんなことはなく、主人公犬神明の一人称ですらすらと読める。狼男という異分子である彼の目を通した文明批判は今現在なってもなお耳に痛い。 一番のお気に入りは「暁に死す」です。 2018/08/16
ざび
4
いや、懐かしい。当時は作者あとがきが新鮮で、作者と触れ合っている感じが懐かしく思い出されました。2018/03/21
kadocks
3
The 平井和正な一巻。 懐かしいけど全然覚えてなかった笑 まさか東京の空襲の話が出てくるとは思わなかったし、初読当時の高度成長期の高校生が読んでも理解してなかっただろうな。まあ大人のラノベなんだけど、ちょっと超人過ぎるのもこのシリーズのヘンテコなところ。分身をどう殺すかのオチも平井和正らしく刹那で時代含め良い。2022/04/14
洪七公
2
読了1982/10/10
エラリー
2
人情に流されがちな不死身の狼男。超人的な能力を持ちながら、人間の悪意に振り回され傷付き続ける物語。2016/06/28