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内容説明
ガブリエルが入団してから1年。クワイアに新しい季節が訪れる。新入生の入団、部屋替えに色めき立つ少年達。そんな中、またもやAクラスから一人、意外な退団者が出てしまう……。彼に一体何が起こったのか……!? 退団者を巡り少年達の心は大きく揺れ動いていく。売野機子が贈る少年合唱団物語、充実の第4巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
天の川
18
母の愛情に飢える少年たちがクワイヤに集っている…。巻ごとに主役として取り上げられる少年の心の闇が暴き立てられていき、読んでいて苦しくなってしまう。皆の庇護者のようだったルース。これまでの彼は「俺の傷は小さいから」と自らを納得させて演技していたのか。ガヴィの心の傷も再び血を流し始めている。次の巻が気になりつつも、誰もが天使の死を肯定するという、この作品の大前提がやはり何とも気持ちが悪い。天使となったルースの弟が今わの際で歌う映像をうっとり見つめる少年たちに、何だか薄気味悪ささえ感じる。2014/10/14
ぐうぐう
13
章タイトルである「きんいろ傷」という言葉がいい。なんだか、グッと来る。ただ、ネームといい、画力といい、いまひとつ緩さがあって、そこが気になる。その弛緩はずばり、素人臭さを感じさせてしまうのだ。設定や言葉使いに光るものがあるだけに、どうにもそこがもったいない。とはいえ、その欠点は、描き続けることで、いずれ克服できるものではあるのだろうけれど。2014/10/31
桜流し
9
天使の死が賞賛されるこの世界で、天使の歌声を望めなかった者を慰めることと、仲間が死ななくて安堵すること、一体どちらが残酷なのだろう。私はギャビーが天使になりたくないと言ったことに安心したけど、やはり他の子たちは天使になることが最上の誉れと思っているんだなと、価値観の違いを目線で突きつけられたような気分になりました。明るいルースが内に秘めていた狂気を剥き出しにしたあのラストも恐かったです…。本編とはうって変わり、付属のペーパーには凄く和みますね。売野さんのことを応援しようと思ったし、好きだなぁと思えました。2014/12/24
真竹
9
前巻を読んで以来、天使になることについてAクラス全員の意識が一致しているように感じていたけれど、そうではなかった。不安定になるガブリエルとルースが痛々しい。次巻、どんな展開なのか楽しみ。2014/10/11
Ribbon no kishi
6
膿をもちはじめた傷が悲しい。冷めた態度でも隠した振る舞いでも、心の内なる痛みは救われぬまま腐っていく。淀みを溜めすぎたルースは極致において解放せざるを得ないまでに追い込まれていたんだろうなと思うと、その境遇がただただ嘆かわしい。諦めと優しさは似ているようでどこか違う。条件付きの愛なんて悲劇を生むだけなのに、どれかを言い訳にしないと弱い心は潰れてしまう。逃避を誰が責められるだろう。助けてほしいと救いを求める声が、ささやかだけれど確かに、鬱蒼と立ち込める濃霧のなかで作品中にこだまするようだった。2015/01/24