内容説明
「ユダヤ人には目がないっていうのか」
――金・銀・鉛の箱選び、サスペンスあふれる人肉裁判など、エピソードあふれる傑作青春恋愛喜劇の中に、虐げられたユダヤ人シャイロックが暗い影を落とす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絵比 乃魅須
1
終始シャイロックに感情移入して読んだためハッピーエンドでもなんでもなく、後味の悪い話だと思った。彼は財産を失い、娘には逃げられ、改宗までさせられる。あんまりではないか。悪役という意味では、例えばソフォクレス『アンティゴネ』のクレオンなどが思い浮かぶが、クレオンと違いシャイロックの裁判後の思いは描かれていないため、悲劇のカタルシスもない(そもそも本劇は喜劇だろうけど)。後、裁判シーンばかり注目されるが、ポーシャの婚約者選びやジェシカとロレンゾーが互いの思いを歌うシーンも印象に残る。冗長だなぁ、とは思ったが。2020/02/29
まさこ
0
これまでも何度か挑戦したものの、他人のせいにしてよければ訳がいまいちで本は読みきれた事がなく。映画では観たことありましたが、やはり本はいいですね。原文で読めればきっともっと気持ちいいのでしょうが、この翻訳はとても楽しく読ませて頂きました。最近読んだ塩野七生さんの作品からの知識によれば、こういった裁判がネタにできるのも、ヴェネツィアならでは、でしょうか。 また男の友情、男女の機微、韻の楽しさ、など、現代でも変わらないものが沢山詰め込まれていて、名作と語り継がれる普遍性が感じられました。2016/03/08