内容説明
東風戦ワレ目あり。勝負の額は…1億円!?一話完結形の連作麻雀小説。
風俗営業の店があまたひしめくピンクゾーン“鬼ヶ島”。この界隈には毎夜ギャンブル好きが集まってくる。殺人前科はあるものの物腰柔らかで男前の天才勝負師・オレンプを中心に、僧侶、医者、株屋、社長、弁護士、家電屋、学生、愛人、警官……etc. 立派な肩書きを持つエリートから小市民まで。ギャンブルを愛してやまない、愛すべき面々による、勝負のゆくえ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hirayama46
4
阿佐田哲也後期のギャンブル小説。元々は『ヤバ市ヤバ町雀鬼伝:新麻雀小説』というサブタイトルだったようですが、改題されたようです。たしかにそれほど麻雀は打ってない……。内容はいかにも後期の作品らしい軽妙な雰囲気で、それでいて半歩踏み外したら破滅になるところにぐいぐい進んでいく自暴自棄さもらしいところです。2025/03/25
Our Homeisland
2
この作者の物は(色川の方のものを含めて)久しぶりに読みました。高校生の時に最初に麻雀放浪記を読んだ時の新鮮さを思い出しながらも、あのシリーズほどの刺激はないものの、やはり、物書きのプロとしての非常にレベルの高い著者が書いているだけあって、楽しめました。他にも同じ小学館文庫シリーズに、まだ、読んでいないものがあるので楽しみです。阿佐田哲也は、あれだけ一世を風靡した人なのに、あまり読まれていないのが残念です。2012/07/06
ゆーいちろー
1
解説において、阿佐田作品によく出てくるギャンブラーたちの「コロしあい」という言葉が、本書においては馴れ合いになっているのでは、という指摘は鋭い。一言で言えば、おしゃれになっていると言ってもいい。「麻雀放浪記」や「ドサ健ばくち地獄」のようなどろどろのやりとりも魅力的だが、本書の主人公と言っていいオレンプのようなスマートさもまたいい。「おしまいツネ公」のような結末も、思わず出目徳の最期と比べてしまうが、どこかコミカルだ。「さがっちゃ怖いよ」に至っては禁断の〇〇落ちだし…アウトローも生き辛い世の中ということか。2013/02/26
0maru0
1
時代を感じさせてくれる。渋い。エンターテイメントしているのに、たまにはっとする表現がすごい。
いい日
1
一読の価値あり。こうやって阿佐田さんの埋もれていた著作が次々と新しく単行本化していくのはファンとして嬉しいです。新しいファンからしたら、新作と同じですから。女子大生のことを「おニャン子」と言っているのは時代ですが、時代性以前に、どの時代にも通用する普遍性というものが阿佐田作品にはあります。色川作品も好きです。語り口というか文体がいいですね。2010/09/13