内容説明
これは、もうひとつの『麻雀放浪記』だ!
終戦間もない混乱の東京。16歳で雀ゴロとして生きる“私”は、一つ年上のボッチと出会う。一匹狼ながら人恋しい妙な感情に見舞われた“私”は、ボッチを相棒にするべく麻雀の“通し”を仕込むが、うまくいかない。やがて、ひとり地方へ流れていくが……(『雀師流転』)。 未完ながらも戦後の匂いを色濃く残す長編小説で、いわば“もうひとつの『麻雀放浪記』”といえる本作。 さらに著者が出会った様々なギャンブルの“職人”たちや、勝負の思い出を綴った文庫未収録エッセイ『麻雀師渡世』から精選した23編も併載。
目次
雀師流転
麻雀師渡世(青春雀荘荒らし;天和職人一匹狼;指先の天才たち;サイコロ賭博師;ギャンブル無情)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆーいちろー
1
未完の長編「雀師流転」とギャンブルエッセイ「麻雀師渡世」収録。時代が遠くなってしまったこともあって、阿佐田哲也が残した物語群ははたして、事実を本にしたものなのだろうか?と感じてしまうこともしばしば…もちろん、諸作品が創作というのは当たり前だが、その前提には、戦後一時裏稼業で身を立てていた作者の経験が反映されているというのが、今のところ常識であるが…「麻雀師渡世」を読むと、いくつも他の小説として発表されたエピソードが散見されて面白い。阿佐田作品の重層構造が、物語の魅力を深める一つの要因になっているとも思う。2013/03/10
いい日
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表題作「雀師流転」は阿佐田哲也の、未完ゆえに単行本化していなかった作品。これは素晴らしい。残りの「麻雀師渡世」は、何冊か短編集を読んでいる人には、ネタがカブっているので退屈かも。ただ、表題作だけで十分読む価値はあると思います。2010/08/18