内容説明
宇治に隠棲した故光源氏の異母弟・八の宮のもとへ通う薫は、老女弁の君より自らの出生の秘密を知らされる。2人の姫君を遺して八の宮死後、薫は姉の大君に求愛し妹・中の君と匂宮の間を取り結ぶが、大君は薫の愛を拒み通して他界。傑作「宇治十帖」の物語がドラマティックに展開する。第8巻は、竹河・橋姫・椎本・総角を収録。
目次
竹河
橋姫
椎本
総角
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
69
竹河から総角までがおさめられています。宇治十帖の序章といったところでしょうか。生前の光源氏の物語と異なり、華麗ながらもどこかしら陰気を感じさせられました。抑制された世界があるからこそ、独特の風景を見ることができるのですが。新たな源氏物語として読んでいきたいと思います。2019/03/29
Gotoran
45
本書には、「竹河」【44帖】、「橋姫」、「椎本」、「総角」【47帖】を収録されている。光源氏亡き後、不義の薫が主人公として物語が進んでいく。薫と匂宮、(光源氏の異母兄弟の)八宮の娘たち、宇治の姫君(大君と中の君)の恋模様と薫の出生の秘密が描かれる「橋姫」(宇治十帖編の始まり)と匂宮の悲願の恋が成就するが薫の恋が終わってしまう「総角」が面白く印象深かった。「総角」謂れ、薫が一周忌法要に事寄せて大君に詠んだ歌“総角に長き契りむすびこめ おなじ所によりもあはなむ” 早く九巻(宇治十帖編の続き)を読みたいものだ。2017/07/25
しんすけ
22
竹河、橋姫、椎本、総角の、四帖を所収。 橋姫から、宇治十帖と称される物語が始まる。 後世に紫式部と呼ばれた女は、ドンファン光源氏を主人公にした物語を書き終えた後、出家したと伝えられる。 その時点では、もう物語を書く気はなかったとも云われている。 だが八年ほどして、新たに十三帖を書き足した。 この心境の変化は、後世の物語作家がいろいろな形で書き記しそれは興味尽きない。そしてどれも信用できない。 それも良いじゃないか。確かめる術なんてもう無いのだから。2022/06/25
無花果
21
薫と匂宮は対照的だなぁ。薫は自分の出生の秘密をを知っちゃったし・・・。もし薫が本当に光の子だったらこういう気質ではなかったのかなと思ったり。でも、実父の柏木もなかなか大胆だったけど、思い悩んで床に伏せる繊細な部分があったし!主人公が変わり、光とはまた違う人間関係(恋愛模様)が描かれてる巻だった。2013/08/28
のらぞー
16
最近、山登りをサボってる。関西近郊のメジャーな山は行き尽くしてしまったので、長野県へ行くことが増えたのだけど、今の時期だと最寄駅からの登山バスがまだ出てないので、仕方なく引き篭もってた。今回の源氏物語が宇治の山奥の美人姉妹の話だった。言い寄ってくる貴族を姉妹が揃って鉄壁のガード。女性を口説くのってこんなに大変なのか、極僅かな自分の経験を思い返してみると確かに大変だったような気がする。女心というのは1000年前からこんなにも捻くれてたのと思うと今更ながらすっきりと腹落ちした。近々、宇治の山に登ってみようか。2023/06/02