内容説明
最愛の女(ひと)藤壺の宮への許されぬ恋と不倫の皇子の誕生、年上の愛人・六条御息所の生霊による正妻・葵の上の死、兄朱雀帝が寵愛する朧月夜との危険な情事とその露見、若紫との新枕など、息もつがせぬドラマが展開する源氏18歳から25歳までを描く。第2巻は、末摘花・紅葉賀・花宴・葵・賢木・花散里を収録。
目次
末摘花
紅葉賀
花宴
葵
賢木
花散里
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
89
A・ウェイリー、角田光代訳に引き続き、瀬戸内寂聴訳で3度目の源氏物語となるが、京都を舞台に繰り広げられる光源氏の恋模様の展開が素晴らしい。「末摘花」「紅葉賀」「花宴」「葵」「賢木」「花散里」の小説としての物語のうねりを十帖目の「賢木」を頂点として、前の帖「葵」と対をなしているとする訳者の指摘も的を得ている。先日訪れた城南宮では落ち椿が見事であったが、神苑・源氏物語花の庭では源氏物語に描かれた80種あまりの草木が植栽されているそうで、現代にまで残る影響を感慨を持って鑑賞した。光源氏の都落ちの巻三へ続く。2025/04/21
優希
76
末摘花から花散里まで。光源氏の恋愛が盛んな時期が描かれているような気がしました。華やかな世界が広がると思えば、不吉なことも相次ぎ、女君たちとの関係も微妙に変化しているように思いました。光源氏がまいた種が不幸として芽吹いてきているようにも感じます。2019/03/28
たーぼー
52
一目惚れした朧月夜に源氏が名も告げず、袖を掴み抱いたまま廂の戸を閉める一連のスピード感溢れる流れは映像として浮かんでくるよう。しかし桐壺帝が譲位あそばされ、源氏が近衛の大将に任ぜられてからは好色も憚れるようになり、物語は緊張の色を帯びてくる。『一条通り車争い事件』は不可避的なものだが、それに起因する六条の御息所の怨念と葵の上に起きた悲劇に対し、自らを責める源氏に男としての成長をみた。心中察する頭の中将のフォローにも泣ける。なんだかこの人、好きだなあ。そしてある覚悟に出た藤壺の動向も次巻以降気になるところ。2015/10/12
あゆた
44
千年たっても恋愛に対する情って変わらないんですね。藤壺は源氏の子を産み、それが帝にばれるんじゃないかと恐れ、源氏のことを忘れるために出家。正妻の葵に対する嫉妬で苦しんだ六条の御息所は自ら身を引き・・・とこのように女性たちは嫉妬や源氏に対する気持ちで苦しんでいるのに、その間も源氏は不器量の末摘花や年増の典侍と関係してからかってみたり、娘のように育てていた紫の上や、帝の妃になるはずだった朧月夜と関係したり・・・そして一度でも関係した女性のことは忘れないというマメさ。いつの時代もマメな男はモテるのでしょうね。2013/08/23
わむう
34
藤壺との間に不義の子がうまれる。熟女の典侍との情事、正妻の葵の上が息子を出産後、六条の御息所の生霊に殺される、紫の上と結婚する、朧月夜の君との密会がばれる。2022/03/26