内容説明
平家が西海の藻屑と消えてわずか半年後、武勲第一の義経は、それまで指揮下にあった頼朝の兵に追われる身となった。吉野から多武ノ峰、伊勢、伊賀――息をひそめて主従7人、平家の残党の如く生きる。静(しずか)を見捨ててまでの潜行につぐ潜行。義経はひたすら東北の空に仰ぐ。そこには、頼朝の最も恐れる藤原3代の王国が――。人間の愚、人間の幸福をきわめつづけた吉川文学の総決算、ここに完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃいろ子
43
平太の青春時代。そして平家の棟梁としてのし上がって行く姿。 吉川氏の描く清盛は鷹揚で細かいことには拘らない大きな人で。 読んでいて楽しかった。 そして平家にあらずんば、、な時代に あっても静かに力を蓄えてきた源氏。 義経を慕って、いつの日かと夢みてきた草の実党の仲間たち。 頼朝と北条家。 そして様々な女性たち。 崇徳天皇の悲しい運命や麻鳥。 思い出すと様々な魅力的な人々が。 ラストはその麻鳥と蓬。 表紙のイラストは吉野桜を見ながら義経たちを想い、平家の、源氏の、栄枯盛衰の悲しさを想う2人だったのですね。 2022/01/31
Kiyoshi Utsugi
41
16巻では、潜伏した源義経が奥州の藤原秀衡を頼って落ち延びていくとことから、秀衡が亡くなり嫡子の泰衡に攻められて自害するところ。更にその泰衡が源頼朝によって攻められ藤原氏が滅びます。 その頼朝も落馬してその後亡くなります。 最後の章が「吉野雛の巻」となっていたのが、最初分からなかったのですが、最後麻鳥と蓬夫妻が吉野山で語り合うところで終わっていたにで、なるほどと思いました。 平家、源氏、北条氏と結局は同じことを繰り返すというのが、虚しい世の中って感じがしました。2022/08/16
金吾
39
源氏や御家人のその後を見ると生きるのは何なのかを考えてしまいます。かなりの大作であり、ほどよい脚色もあり面白い話でした。最後は少しジーンとしました。2023/04/17
Toska
37
後白河が平家の亡霊にとっちめられる驚きの展開。皇族の描写には遠慮がちだった吉川さんも、最後の最後で思い切ったか。義経の悲劇を主軸に、これまで物語を支えた様々な人物(元雑兵の駄五六まで出てくる)の運命を描きつつ、徐々にフィナーレへ持っていく演出。そして最後は麻鳥と蓬の安らぎで〆。心に沁みる、いい終わり方だったと思う。著者による「完結のことば」と長男・英明の回想も必読。2025/01/19
シュラフ
36
読むべし、この作品。すごい作品だ。多くの登場人物たちが語るその心情を吐露する言葉の数々は、われわれの胸にぐさっとくる。シェイクスピア作品に負けず劣らず、と言ってよい。また、保元・平治の乱を体験した、麻鳥の老夫婦の述懐は、大きな感動をもって「人間の幸福とは、人間とはいかに生きるべきか」について問いかけてくる。トルストイの『戦争と平和』よりもずっと胸をゆさぶられた。文学のテーマが「人間社会の中での個人の生き方の追求」とすれば、この作品を読んだ後の生きざまは確実に変わるだろう。この作品に出会った私は幸せだ。2017/05/06
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