内容説明
平家には、もう明日はなかった。さかまく渦潮におのれの影を見るごとく、壇ノ浦に一門の危機感がみなぎる。寿永4年3月24日の朝、敵味方のどよめきのうちに戦は始まった。単なる海戦ではない。海峡独特の潮相と風位の戦である。潮をあやつり、波に乗るもの、義経か知盛か――。その夜の星影も見ず、平家は波騒(なみさい)に消えた。波の底にも都の候う、との耽美的な一語を残して。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃいろ子
44
檀ノ浦の戦い。 栄華を誇った平家がとうとう滅びてしまう。 若かりし頃の清盛の青春から始まり長い時をかけて、その栄光を追ってきただけに切ないものがある。 まだ幼い安徳天皇の最期も悲しく、死にきれなかった母である徳子の苦しみを想うと、、。 そして見事平家を滅ぼし神器も2つまでは取り戻した義経だが。 頼朝は褒めるどころか鎌倉の地に戻ることも許さず。 先日なぜ頼朝は日本人に人気がないのかという記事を読んだが ふーん、なるほどーと。 判官贔屓ですよ、はいはい。 不穏な空気のまま次巻へ。 嫌だなぁ。切ないなぁ。2021/12/28
金吾
41
壇ノ浦の戦いにおける平氏の最期はこの物語の一つの結末でした。栄耀栄華を誇った一門がアッという間に滅んだこと、またそれを回避しきれないことに哀愁を感じます。宗盛の戦後はなかなか印象深いです。また頼朝の義経に対する追い詰めかたは政治家頼朝の真骨頂だと感じました。2023/04/17
Kiyoshi Utsugi
40
壇ノ浦の戦いは、安徳天皇、二位の尼(平時子)が入水し、平家が滅びます。そして、勝利した源義経は鎌倉に向かいますが、鎌倉には入ることが許されず、満福寺で有名な腰越状をしたためて、大江広元経由で兄の頼朝に取り次いでもらいますが、それでも鎌倉入りは許されず、京都に戻るまでを描いています。 まさに「新・平家物語」のクライマックスでした。 栄枯盛衰を見事に描いた作品でした。 ところで、裏表紙に書かれている「平気は波騒に消えた」って、なんだろう。消えたのは「平家」?(笑)2022/08/08
シュラフ
35
いよいよ平家一門が滅亡する壇ノ浦の戦いの場面。もはや陸上も源氏軍に抑えられ、平家一門は海上に逃れ出ての最後の一戦にかけるしか策なし。鬼気に迫る平家軍は潮の流れも利用して序盤は攻勢に出るも、この段になって味方の裏切りもあって次第に孤立していく。そしていよいよ最後の時がくる。二位ノ尼、女院、幼い安徳天皇が次々と入水する。読み手としては、平家一門のこれまでの栄華と衰退のさまが思い出されてきて、感極まって思わず涙してしまう。女院はすくいあげられるものの、ニ位ノ尼と安徳天皇は安けき眠りにつけたことはせめてもの救い。2017/05/06
Toska
30
壇ノ浦。クライマックスらしく源平双方に見せ場を与えているが、戦いそのものは意外にあっさり終わらせた印象。安徳帝救出ミッションはかなり無理のある筋書きで、義経のイメージを和らげる美化工作という気がしないでもない。ただ、主人公の「強さ」ではなく「優しさ」を前面に出す辺り、本作はまぎれもなく戦後文学なのだ。これが戦前だったら、吉川英治はどのような義経像を描き出したのだろうか?2025/01/16
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