八兵衛「どうも最近もの忘れがひどくていけねえや」
隠居 「それはしかたないね。だれでも年は取るもんだ」
八兵衛「寝たきりにでもなったら、一日中カカアの顔を拝んでなきゃ
いけねえ」
隠居 「お前さんなんかまだいいほうだ。熊さんはひとり者だからそう
なったら大変だ」
八兵衛「熊のやつ、最近<介護施設>だの<特別養護老人ホーム>だの
資料取り寄せて見てやがるんだが、あっしにはさっぱり...」
隠居 「ほう、感心だね。入る施設によって極楽と地獄くらい差がある
ようだからね」
八兵衛「そんなもんですかね」
隠居 「お前さんも、下にある本で少しは勉強したらどうかな」
八兵衛「へえ、ボケの予防まであるんだ」
隠居 「お前さんは大ボケだから、これ以上心配なさそうだ」