出版社内容情報
介護保険制度の利用方法から厳しい現場の実情、人材不足の背景や財政論まで。すべてが分かる基本の一冊。
内容説明
介護保険制度スタート時に謳われた「施設介護から在宅介護へ」「行政主導から利用者本位へ」はどこまで実現したのか?「施設志向」から増している現実は何を語るのか。制度の利用方法から現状の課題、人材不足の背景、財源問題まで。きめ細かな現地調査に基づき現場を踏まえた政策提言も行う。すべてが掴める基本の一冊。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
53
カバーしている範囲が広く、問題意識を持てるだけでなく介護する側にとっても有益な本。政府の政策と現場の乖離、介護保険やサービスの限界といったことを強く感じる。将来の自分の問題として読んでおくのにも良い。2015/11/26
關 貞浩
9
団塊の世代が後期高齢者となる2025年。介護難民を生まないためにも、地域包括ケアシステムの整備が急がれている。“在宅と施設といった二分法的な考え方ではなく車の両輪として据えるべき”という筆者の主張をベースに、財源、労働力不足など、克服しなければならない課題が山積していることがわかる。特に、看取りを見据えた介護、介護報酬のジレンマ、介護離職や他業種との相対的低賃金、外国人労働者の受入れを含めた現状課題は丁寧に整理されている。国家財政の見通しは甘い気がするが、“療養介護福祉士”の創設などは優れた提案だと思う。2016/12/07
お茶
7
当然のことながら、現在「在宅介護」はほとんど機能しておらず、介護施設の存在を抜きには考えられない。その意味で介護制度全般の概説になっていることは仕方ない。目新しい内容ではないが、一般の方には解りやすい説明になっていると思う。著者の考えは最後の章に述べられている。必ずしも全般に賛成はできないが、介護は「社会投資」として考えるべき、という立場は大切。准看護師と介護福祉士の統合、というのは面白い。2017/03/02
パット長月
4
予備知識ゼロだと、やや苦しいかもしれないが、「在宅」のみならず、制度全般に関する基本知識に加え、著者自らのフィールドワークによる運用実態の肉付けが与えられて、単なる制度の表面的な解説に終わらず、とても勉強になる。また著者の政策提言も、特に年金関連の新書本によくある、恐らく数ある選択肢のひとつにすぎないような提案を、著者の主張で素人に押し付ける類のものとは一線を画し、地に足の着いた示唆的で実践的な議論である。読み終えて、オリンピックの競技場ごときに巨費を投じる余裕が今の日本にあるのか、暗澹たる気持ちになる。2015/11/15
Akira Kumoi
4
題名のとおり在宅介護の背景や歴史、問題点や今後の政策への提言など幅広い内容で面白かったです。新書という性格上、内容が浅く広くなるのは無理もなく、個々で興味のある分野は専門の本を読んでみようと思います。2015/10/26