内容説明
消費税が導入されて間もない平成元年。わずか12円の税を巡り女性店主が刺殺された。逮捕された老人が完全黙秘を続けるなか、警視庁捜査一課の吉敷竹史は、事件の奥底に横たわる30年以上前の巨大な謎へと踏み込んでいく。弱者に寄り添い、懸命の捜査を続ける吉敷刑事が辿り着く壮大なトリックとは――。社会派と本格、二大推理潮流が奇跡的に結晶した大傑作、待望の改訂完全版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はな
5
吉敷竹史シリーズの改訂完全版が4ヶ月連続で刊行される。今月は本書。この吉敷シリーズは初めて読むが、警察小説と思いきや冒頭の章では雪の中を走る列車の中でのピエロの死体が密室のトイレから煙のように消えてしまう、本格ミステリーの書き出しに意表をつかれた。小さい老人が消費税を払うのが嫌で起こした殺人事件に違和感を感じた吉敷刑事は、捜査一課で単独で動き出す。提示されたのは密室殺人、消えた礫死体など、巨人が列車を掴み上げることによる脱線事故など本格ミステリー並みの難事件だ。警察小説と本格ミステリーの融合が良い。2026/03/23
shonborism
2
社会派のミステリ。こんなことできるのかというトリックが見事に解き明かされる。2026/03/16
べーちゃん
1
吉敷竹史シリーズの完全改訂版が4ヶ月連続で刊行されるというニュースを見て、まずは第1弾を購入してみた。 以前から興味があるシリーズではあったが、なかなか本での入手が難しかったので読むことができて嬉しかった! 占星術殺人事件のような劇的で派手なトリックはないものの、ミッシングリンクのような様々な謎が一つに繋がっていく気持ち良い感覚と徐々に明かされていく犯人の過去に対する遣り切れない感情が交錯していくので非常に良い読後感であった。 今後の改訂版も買って読みたくなった。2026/03/18
hayabusanotsuji
0
捜査小説。内容についてはよく知られているとも思うので割愛。作者もその点非常に意識して書いているように思うが、本作は昭和という時代の終わりとその総括という側面が強く打ち出されている。消費税の導入という、本作の書かれた当時では新しい出来事が事件の原因だと思われていたところ、吉敷刑事の丹念な捜査の結果、事件の様相は大きく転じる。その鮮やかさ。2本の列車に関するトリックは、当時今以上に西村京太郎が人気していたこともあり、こういう書き方になったのかなと。何にせよ、書かれた当時の時代を強く反映した島荘御大の傑作。2026/03/19




