内容説明
消費税が導入されて間もない平成元年。わずか12円の税を巡り女性店主が刺殺された。逮捕された老人が完全黙秘を続けるなか、警視庁捜査一課の吉敷竹史は、事件の奥底に横たわる30年以上前の巨大な謎へと踏み込んでいく。弱者に寄り添い、懸命の捜査を続ける吉敷刑事が辿り着く壮大なトリックとは――。社会派と本格、二大推理潮流が奇跡的に結晶した大傑作、待望の改訂完全版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
323
★★★★★ 島田荘司さんの作品中1、2を争う傑作。 日本の戦争犯罪、そして冤罪というタブーに正面から臨み、かつ本格ミステリとしても完成度が高い。 吉敷が真実を解明しようと戦う姿はカッコ良いが、本来単なるヒラ刑事に独自で捜査する権利はないはずだから、性格の悪い主任の言葉も少しは分かる。 ちなみに右寄りの方には受け入れがたいと思われる描写があるので、いっそ読まないことを勧める。2026/04/13
糸巻
28
「吉敷竹史シリーズ」完全改訂版四カ月連続刊行ということで購入してみた。シリーズの1作目ではないが全然問題なし。消費税が導入されたばかりの平成元年・浅草の乾物店の店先で老人が起こした殺人事件。たった12円の税をめぐる事件と思われたが、被害者・加害者の過去を調べると昭和32年に北海道で起きた不可解な事件が浮かび上がり…。作中作のピエロの話がこんなふうに繋がるなんて思いもよらず、すごく面白かった。北海道ということで牛越刑事も登場し吉敷刑事とのコンビが◎謎解きも人間ドラマも引き込まれる作品だった。2026/04/17
はな
8
吉敷竹史シリーズの改訂完全版が4ヶ月連続で刊行される。今月は本書。この吉敷シリーズは初めて読むが、警察小説と思いきや冒頭の章では雪の中を走る列車の中でのピエロの死体が密室のトイレから煙のように消えてしまう、本格ミステリーの書き出しに意表をつかれた。小さい老人が消費税を払うのが嫌で起こした殺人事件に違和感を感じた吉敷刑事は、捜査一課で単独で動き出す。提示されたのは密室殺人、消えた礫死体など、巨人が列車を掴み上げることによる脱線事故など本格ミステリー並みの難事件だ。警察小説と本格ミステリーの融合が良い。2026/03/23
Simon
3
初の島田荘司。本格派をイメージしていたので、社会派な面が強いことが意外だった。それでいて魅力的で幻惑的な謎とトリックが味わえて満腹満足。この作品を読んで作家を志す人が続出したと聞いたが、それほどのエネルギーがあるのも納得。2026/04/20
shonborism
2
社会派のミステリ。こんなことできるのかというトリックが見事に解き明かされる。2026/03/16




